障害者差別解消法が試行される2016年4月まで、半年を切った。この法律では行政・企業に、障がい者への「差別禁止」と「合理的配慮」が求められている。経営にはインクルーシブな考えが必須になる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
この法律は、障がいの有無に関わらず共に生きる社会を目指して作られたものだ。障がい者への、「差別的取り扱い」と、「合理的配慮をしないこと」が差別となる。差別をした企業は、役所に報告を求められ、注意を受ける。
差別的取り扱いとは、以下のような例を指す。
・障がいがあるからスポーツクラブに入会できなかった
・車いすを利用しているから、アパートに入居できなかった
・車いすを利用しているから、お店に入れなかった
*ただし、ほかに方法がない場合は、「差別的な取り扱い」にはならない
合理的配慮をしないことの例は以下。
・(会議などで)聴覚障がいのある人に声だけで話す
・知的障がいのある人に分かりやすく説明しない
・視覚障がいのある人に書類を渡すだけで読みあげない
*合理的配慮をするうえで、経済的負担がかかり過ぎる場合は、ほかの方法が考えられる
行政には、「差別的取り扱いの禁止」と「合理的配慮」は法的に義務とされているが、企業には、「差別的取り扱いの禁止」だけが法的義務で、合理的配慮は努力義務とされている。しかし、障がい者への配慮について学ぶユニバーサルマナー検定を立ち上げたミライロ(大阪府大阪市)の垣内俊哉社長は、「ゆくゆくは、企業における合理的配慮も法的義務になるはず」と予測する。
「どこからが差別で、どこからが合理的配慮なのか。その基準が明確でないために、様々なシーンで物議が巻き起こっている」と話す。施行されるまで残り半年。各自治体や業界は対応に迫られている。
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