今年、4回目を迎える国際平和映像祭が、国連の定める「平和の日」(ピース・ディ)に合わせて、9月21日、横浜市教育会館ホールで開催された。はたして、今年のグランプリ作品は。(オルタナ編集委員=高馬 卓史)
一般社団法人 国際平和映像祭主催の「国際平和映像祭」(UFPFF)では、まず、CMプロデューサーの石川淳哉さん、映像作家の丹下紘希さんと、司会進行の並河進さん(電通クリエイティブ・ディレクター)でトークショーが行われた。
3人に共通する想いは「映像で平和とは何かを伝える」こと。石川さんは、「広告を通じて、平和を願うきっかけになってくれれば良い」と語り、丹下さんは「無自覚に(戦争への道に)加担していないかという怖れがある。戦争が始まってしまっては遅い。その前兆について議論すべき」と語った。司会役の並河さんも「広告の伝える力で、平和にどこまで貢献できるかの挑戦」と語った。
その後、前回のグランプリ受賞者・奥田愛基さん(明治学院大学)の新作が紹介され、いよいよファイナリストの映像、10作品が上映された。審査委員は、大久保秀夫・ファーバル代表取締役会長、柿本ケンサク(映像作家・映画監督)、金大偉(音楽作家・映像作家)、高橋克三(国際平和映像祭理事)。龍村ゆかり(「地球交響曲ガイアシンフォニ―」プロデューサー)、根本かおる(国連広報センター所長)の6人。
上映後の審査時間に、矢野プラザーズの音楽ライブをはさんで、審査結果の発表が行われた。
●なんとかしなきゃプロジェクト賞
「HAVE NOTHING IN COMMON」…監督:小長谷謙治(慶應義塾大学)、助監督:湯本愛(慶應義塾大学)
キプロスを舞台に、平和の形にも様々なものがあるというアプローチで、ファイナリストではないが、全応募作品から選ばれた。
●地球の歩き方賞
「彼女の背中」…監督:藤井徹、編集:西川文恵
一般応募の中から選ばれた。家庭教師をしている女子大生の姿を通じて、東北の被災地を考えさせる作品。
●審査員特別賞
「Tears」…監督:GHOBADI Yahya(イラン在住の映像作家)
一般応募のなかからの選出。非常に優れた映像表現で、ストレートに戦争の悲惨さを訴えた作品。
●グランプリ
「Scales of Luck Fortune and Longevity」…ZHANG Tao(中国在住・北京電影学院)
天秤はかりの伝統工芸の職人をする老人の姿を追いながら、「バランスこそ大事」というメッセージを、落ち着いた映像で、胸に響くように描いた作品。
今年の国際平和映像祭の特徴は、ファイナリストに多くの中国・北京電影学院からの作品が残ったことだろう。主催者側を代表して大久保秀夫さんが、「来年は韓国も巻き込んで、文化交流を深め、アジアの平和に貢献したい」と抱負を語り、映像祭の幕を閉じた。
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