環境や人権に配慮した「エシカル」なファッションブランドが近年増えてきた。そんなエシカルファッションの第一線で活躍する、元Ranzukiモデルの鎌田安里紗さんと、エシカル・ペネロープ代表の原田さとみさんの2人に話を聞いた。倫理的という意味の「エシカル」に対して、親しみを持つ糸口は何か。名古屋市のフェアトレードタウン化を率いた原田さんは、「途上国を意識することで、地元の課題にも気づいた」という。鎌田さんは「自分が本当に何を好きなのかを考えることがエシカルにつながる」と自己の基準を作る大切さを話した。(オルタナ編集部員=佐藤 理来)
■自分なりの購買基準を設ける
ファッションは、どうしても価格や流行を購買基準にしてしまいがちだ。エシカルをうたうファッションブランドも大学生向けのものは少なく、価格も高め。鎌田さんは「『100回着たい!』と思う服を探すこともエシカルファッションにつながる」と話す。自分なりの基準を持てば対象のことをよく考えるようになり、エシカルファッションにつながるという。
鎌田さんは2014年から、NGOなどと協力しながらスタディーツアーを開催してきた。インドやカンボジアなど途上国で、1週間程度かけて綿花の生産現場を訪れたり、住居建設を手伝ったりする内容だ。鎌田さんによると、エシカルに興味を持っても、言葉だけの説明だと実際のアイテム購入には結び付きにくいという。
「お勉強形式ではなく、途上国の課題を直接身体で感じてもらって、自分で考える機会づくりを重視している」。現地で感じたことを言語化し、自分なりの基準作りをうながす。
■足元にある課題を見つめる
「途上国を通して、地元の問題に気付いた」と話すのは原田さんだ。原田さんの運営するセレクトショップ「エシカル・ペネロープ」では、ウガンダやフランスのフェアトレード商品を販売するほか、名古屋市のフェアトレードタウン化をけん引した「フェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)」の本部機能も担う。
■かわいくなきゃ駄目
原田さんはエシカルについて、4つのポイントを設ける。それは、環境、人権、伝統技術の継承、そして確かな品であることだ。「エシカル・ペネロープでは、フェアトレードを特に売りにしていません。整えるのは作り手の責任。『べき』ではなく『ほしい』と思って買ってもらいたい」。
鎌田さんは、「義務では続かないし、仮にオーガニックやフェアトレードの服でも、買って1度も着ないのであれば無駄になってしまう。エシカルな素材であればベストだが、今あるものを大切に使うこともエシカルファッションのはず」とライフスタイルのなかで無理なく付き合うことを重視した。
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