DPI女性障害者ネットワーク(東京・千代田)は2月16日にスイス・ジュネーブで開かれる国連の女性差別撤廃委員会で日本の障害女性の現状を生の声で伝えようと、同団体のメンバーを送り出すことを考えいる。ジュネーブで、国際機関の職員に直接ロビーイングを行うことで、国際的な場から日本政府への働きかけを促すことが狙いだ。派遣にかかる費用はクラウドファンディングで寄付を募っている。DPI女性障害者ネットワークの五位渕真美さんに、日本の障害女性が抱える課題について寄稿してもらった。

私たちDPI女性障害者ネットワークでは、2月16日にスイス・ジュネーブで開かれる国連の女性差別撤廃委員会で、障害のある女性が直接ロビーイングを行うため、派遣団の準備を進めている最中です。同ネットワークの障害のある女性と支援者ら11人のメンバーを派遣する予定です。(寄稿・DPI女性障害者ネットワーク=五位渕 真美)

五位淵さんは脳性マヒを持つ

五位淵さんは脳性マヒを持つ

その一人である私は、言語障害を伴う障害をもつ者です。幼いころ肢体不自由児施設で育ちました。そこではあらゆることが決められ、職員の顔色をうかがう生活でした。女子の入浴時間であっても、女性であることは配慮されず、男性職員による入浴介助も当たり前に行われていました。

私はよく「ここは現実ではない。ずっと眠り続けていて悪夢の中にいるんだ」と夢想にふけていたものです。障害者なんだから頑張るしかない、自分さえ我慢すればそれでよいと自分自身を抑圧し続けていたと振り返ります。誰一人、私に「あなたはどんな生活をしたいのか?」と聞く人はいませんでした。障害のある女性が抱える困難は、私たち当事者自身も、周囲の方たちも、障害があり女性であることを理由に、仕方がないとあきらめ、認識されにくいものでした。

こういった障害者差別と性差別が複雑に絡み合って受ける困難を「複合差別」と呼びます。可視化が困難な複合差別をメインストリーム化するために、障害のある女性の参画は大きな課題となっています。現在、日本では障害者施策を話し合う委員会に28人中2名しか障害のある女性が入っていません。女性施策を話し合う委員会においては障害者が1人もいません。

2014年日本が批准した障害者権利条約制定過程では「わたしたち抜きに私たちのことを決めるな」を合言葉とし、障害当事者関係者が積極的に参加したことが大きな特色でした。私たちも、誰かにしてもらうのではなく、社会のあらゆる場面で直面する障害のある女性の複合差別の現状を生の声で伝えなければならないと思いました。

今回は国際的な場から日本政府への働きかけを促し、少しでも国内の状況が改善されることを目指しています。私たちの試みの一つひとつが日本の社会課題の解決につながり、そして同様な困難を抱えている人の原動力になれればと思います。

・「障害女性を国連本部ジュネーブへ!国際ロビーイング活動に送りだそう!」はこちら

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