青山アートスクエアで2月20日から28日まで、「東京都特別支援学校 アートプロジェクト展~東京の街を彩る」が行われる。展示会では、都立特別支援学校57校から審査を経て選ばれた作品50点が飾られている。才能あふれる作品を見る絶好の機会となる。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

盲目の生徒が作成した「輝く光」。点字ペーパーでつくられており、生徒なりの光が表現されている

盲目の生徒が作成した「輝く光」。点字ペーパーでつくられており、生徒なりの光が表現されている

展示会を企画したのは、東京都教育委員会。同委員会は、東京都特別支援教育推進計画を策定し、その計画において、芸術教育を強化している。東京藝術大学の美術学部と連携し、芸術の授業を改善してきた。

こうした取り組みの成果を広く知ってもらうため、今回の展示会は企画された。展示会を開くにあたり、都立特別支援学校57校に在籍する児童・生徒から作品を募集した。この展示会の狙いは、芸術に優れた才能を有する児童・生徒を発掘し、その作品を発表する機会を設け、都民に対して障害者や障害者アートに関する理解促進につなげることだ。募集した結果、期待を大きく上回り、439点もの応募作品が集まった。東京藝術大学の教授にも協力頂き、厳正なる審査を経て選ばれた50点が伊藤忠青山アートスクエアに飾られている。

伊藤忠青山アートスクエアは、伊藤忠商事が社会貢献活動として展開するギャラリー。「次世代育成」「地域貢献」などを目的に、2012年のオープン以来、NPOや様々な団体などと連携したアート展を数多く開催してきた。場所は、青山の一等地にあり、入場料を無料にして、多くの人が気軽に訪れられるギャラリーとして親しまれている。

同ギャラリーもまたオープン以来、障害者アートに力をいれてきた。オープンを飾った「ねむの木とまり子美術展」に始まり、「Studio COOCA(スタジオクーカ)の世界展」、社会福祉法人友愛学園の「引きあう力展」、「Warm Blue MAZEKOZE Art展」など、障害者アート×ファッションといったユニークな障害者アート展でも自立支援をサポートしてきた。また児童書の電子化 (マルチメディアデイジー規格)を進め、 障害のある子どもたちに無償提供する読書支援事業を行う伊藤忠記念財団と連携した展覧会などで、近隣にある青山特別支援学校とも親交を持っている。

今回の展覧会は、展示計画を東京藝術大学美術学部の教授や若手芸術家が行い、設営を美術学部の学生たちが行った。それぞれの作品にあわせて、額を作成し、展示台を作成した。美術館等の照明を行うプロ集団が作品にあわせて、色味を調整し、照明が当てられている。その見えない力が、障害者アートの担い手たちの作品に一層の彩りを与えている。

審査に協力をした東京藝術大学美術学部O JUN教授は、「作品を審査していく過程で、通常私たちが見落としている視点に気付かされることが多かった。彼らの素晴らしい芸術性を私たちの経験と技術で、いかに表現するかという観点で展示方法を工夫したので、とてもいいコラボレーションができたと思う。」と語った。作品の魅力をいかに引き出せるかを幾度も打ち合わせを重ねた、嗜好を凝らした展示方法にも是非ご注目頂きたい。

飾られている作品は50点、障害者アートの魅力を存分に味わうことができる

飾られている作品は50点、障害者アートの魅力を存分に味わうことができる

東京都教育委員会はこれまでも障害者アートの啓発に取り組んできた。様々な機会をみつけて、特別支援学校の児童・生徒が取り組んだ文化活動の成果を発表する場をつくってはきたが、なかなか一般の方々に来場してもらうところまでは困難であった。

2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えている今、障害者アートを推進するため、都は今後も様々な施策を打ち出していく。

障害がある人たちが生み出す優れたアートへの注目が高まっている。

【東京都立特別支援学校 アートプロジェクト展―東京の街を彩る―】
会期:2月20日(土)~2月28日(日)11:00~19:00*21日(日)は休館日
会場:伊藤忠青山アートスクエア(東京・港)

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