大学生が2週間をかけて、ベトナムで店舗運営を行うインターンプログラムがある。その名は、武者修行プログラム。新興国で行われている実践型ビジネス研修とは。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

武者修行プログラムでビジネスプランを考える学生たち

武者修行プログラムでビジネスプランを考える学生たち

武者修行プログラムを実施しているのは、旅武者(東京・新宿)。同社は2013年から同プログラムを始めて、420人以上の大学生が参加した。行先はベトナムの世界遺産都市ホイアン。同地に、同社が運営するレストランやショップなどが8店舗ある。

大学生たちは3~4人で1チームに分かれて、8つの店舗に振り分けられる。それぞれの店舗で行う業務内容は、新商品の開発や広報、ブランディング、内装など多岐にわたる。2週間の間で、収益を最大化することを目指す。

大学生たちのアドバイザーとして、ファシリテーターは付いているが、インターン先の店舗にいる従業員は、ベトナム人。ジェスチャーや英語で話しかけながら、現場の課題を探らなくてはいけない。

旅武者の松田宇弘 ブランド・マーケティング担当は、同プログラムを「生涯教育」と考え、「2週間をかけて、自分は何ができるのかを考え抜き、実践して、自分の力で突破する自走式エンジンを備えてもらいたい」と話す。

テクノロジーの発展で、未来の働き方は大きく変わっていくことが予測されている。そして、グローバル化の流れを受け、外国人労働者は毎年10万人単位で増えている。

このような背景があり、大学生のうちから座学だけでなく実践も経験したいと考える若者が増えているという。このプログラムの参加費は10数万円(航空券・食費・宿泊費別)だが、分割払いや社会人になってから払う出世払いもある。

■「自信をつけたい学生こそ」

森美沙希さん(大阪大学法学部国際公共政策学部4年)は2015年の春に武者修行プログラムに参加した。森さんは宮崎出身で、実家が農家である。このプログラムに参加した動機は、「ビジネスとはどのようなものなのか知りたかったから」。

武者修行プログラムに参加した森さん

武者修行プログラムに参加した森さん

森さんは3人チームで、ホイアンにあるレストランにインターンした。その店舗は2階立てで、コックが1人と従業員が3人ほどいる。日本食とベトナム食を融合した創作料理屋だ。森さんたちに与えられた業務内容は新商品の開発。どのようなメニューが人気なのか従業員やお客さんから聞き取り、ビーフ丼を開発した。牛肉のレモングラス炒めを乗せたどんぶりだ。販売を開始して1年が経過したが、売上は2番目に多い人気メニューになった。

この経験を通して、「ロジカルと感情のバランスを学んだ」という。森さんたちのチームは商品を開発するにあたり、メンバーどうしでぶつかってしまった。そこで、「なぜここに来たのか。お互いをどう思っているのか」について腹を割って話し合った。

そうすることで、チームワークが高められ、企画内容は変えていないのだが、「相手に伝わりやすくなった」と話す。

森さんたちが開発した「ビーフ丼」。今では人気メニューの一つ

森さんたちが開発した「ビーフ丼」。今では人気メニューの一つ

森さんは今年春にも、同プログラムに参加した学生20人弱でベトナムに行く。今度は新規店舗の立ち上げにかかわる。現在、クラウドファンディング「キャンプファイヤー」で活動資金を募っている。

武者修行プログラムは「自分に自信がなかったり、将来何をしたらいいのか分からない学生におすすめ」と森さん。「このプログラムだと失敗しても大丈夫。徹底的に自分に向き合って相談に乗ってくれる社会人もいるので、挑戦しやすい環境がある」と話す。

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