イタリアの高級ブランド「アルマーニ」はこのほど、2016年秋冬コレクションから、ラビットファーを含む全ての毛皮の使用を廃止することを発表した。ジョルジオ・アルマーニ氏は、「環境や動物を守るため、(自社にとっての)大きな一歩」と述べた。同社に毛皮反対を訴えた国際組織からは、「この思いやりと改革こそ、ファッションの未来」と称賛されている。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
ファッション産業で使われている大部分の毛皮は、毛皮農場で取っている。農場で飼われている野生動物たちをは、毛皮を傷つけないために、ガス殺や肛門からの感電殺など残酷な方法で殺される。さらに、毛皮の生産をするさいに、多量の化学物質を使用するため、高い環境コストや消費者の健康リスクも伴っていた。
このような犠牲の上に成り立つファッションに対して、反対と叫ぶ消費者が増え、英国、オランダ、オーストリア、クロアチアなど様々な国々で毛皮農場はなくなっていった。ヒューゴボス、トミー・ヒルフィガー、カルバン・クライン、ステラ・マッカートニーなどの高級ブランドも続々と毛皮廃止を表明している。
今回のアルマーニの決断に働きかけた、Fur Free Alliance(毛皮に反対する国際連盟)のヨー・ヴィンディング代表は、「アルマーニ氏は、何十年もの間、ファッション界における流行の仕掛け人であった。この思いやりと改革は、ファッションの未来であることを証明している」と称賛した。
■日本の毛皮消費は年167万頭
NPO法人アニマルライツセンターの調査によると、2015年、日本の毛皮消費のために犠牲になった動物数は約167万頭だった。日本の毛皮付き衣料品の輸入量は、2006年をピークに年々減少しており、2006年と比較すると80%減少している。2015年までに、日本ではアシックス、アースミュージックアンドエコロジー、ユニクロ、無印良品などが毛皮を取り扱わないことを確約している。
同団体の岡田千尋代表は、「日本の消費者が倫理的な選択をしはじめていることを誇らしく思っている。今後も、アルマーニのようなブランドに続く日本企業が出てくることを期待している」と話した。
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