8年間にわたり児童養護施設の日常を追いかけたドキュメンタリー「隣る人」のアンコール上映が、ポレポレ東中野にて3月8日から行われている。本作は2012年5月に公開され、文部科学省選定(青年向き・成人向き)第9回文化庁映画賞・文化的記録映画部門で大賞を受賞するなど高い評価を得た。自主上映会なども行われている。(オルタナS編集部員=佐藤理来)

埼玉県加須市にある児童養護施設「光の子どもの家」を舞台に、保育士のマリコさん、マリコさんが面倒を見るムツミとマリナの3人に焦点を当てて物語は綴られてゆく。8年の歳月をかけて丁寧に記録されたのは、児童養護施設での平凡で、しかし大切な日常だ。

児童養護施設は様々な理由から親と一緒に住むことのできなくなった子どもたちが暮らす場だ。子どもたちの抱える事情や滞在期間、施設の規模などは千差万別。舞台となった「光の子どもの家」では1つの建物で12人までの児童を受け入れる小舎制という形式を取り、より家庭に近い形での受け入れを目指している。

全国で約3万人の子どもが過ごしているという児童養護施設だが、その実態が報道に上ることは少ない。児童養護施設の子どもたちが何を大切に暮らしているのかを伝えたかったという。

作中には、絵本を読んでほしいと甘えるシーン、マリコさんを取り合ってケンカするシーン、様々な日常が記録されている。一方、離れて暮らしていたムツミの親が、再び一緒に暮らしたいと施設へやってくる場面もある。一貫していえるのは、施設での平凡な日常を必死で生き抜いているということだ。

ポレポレ東中野での上映は3回目になり、28日までの上映を予定しているという。