ヤフーのCSRの「あるべき姿」とは何か。今年、設立20周年を迎えたヤフーは、これまでの事業や社会貢献活動を振り返り、これからも社会の期待に応え続けるため、2016年2月19日にステークホルダー・ダイアログを開催しました。その模様をご報告します。前半は、3人の有識者にCSRの取り組みに関する評価をいただきました。文=今井麻希子 写真=川畑嘉文

2016年2月、有識者を招いてヤフーのCSRの「あるべき姿」を議論した

2016年2月、有識者を招いてヤフーのCSRの「あるべき姿」を議論した

【出席者】
川村雅彦氏(ニッセイ基礎研究所 保険研究部 ESG研究室長)
駒崎弘樹氏(認定NPO法人フローレンス代表理事)
田中美咲氏(一般社団法人防災ガール代表理事)
加納美幸(ヤフー株式会社コーポレート統括本部コーポレートコミュニケーション本部本部長)
妹尾正仁(ヤフー株式会社コーポレート統括本部コーポレートコミュニケーション本部社会貢献推進室室長)

司会:森 摂(株式会社オルタナ代表取締役兼「オルタナ」編集長)

■全体戦略に位置付け、仕掛けるCSRを

川村:CSR経営の研究者としての観点からは、ヤフーの個別のCSR活動は悪くなく、それなりに評価できるものです。しかし、会社としてCSRを統括する組織体制が存在しないためCSRの全体設計がなく、それぞれの活動がバラバラに見えてしまっていると感じました。

ESG投資(※)が増える中、企業CSRには、長期的にありたい姿から現在の活動を決める「バックキャスティング」の視点が必要と言われています。これに応えるためにも全体ビジョンを持つことが大事です。いきなりCSRの組織を持つことが難しければ、まず担当役員を任命し、委員会あるいはタスクフォースをつくることから始められると思います。
(※)ESG投資: 環境・社会・ガバナンスの要素が優れた企業に投資すること

認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏

認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏

駒崎:ヤフーの社会貢献活動のスピード感はすごいですね。東日本大震災の復興支援として石巻に社員を在中させていらっしゃいますし、「復興デパートメント」のような、インターネットの強みを活かした展開もしています。

Yahoo!検索で「死にたい」という言葉を入力すると、死ぬ方法ではなく相談機関を表示させるというのも、ヤフーらしい、よい取り組みです。ただ、もっと「がっつり」できる可能性もあると思うのです。例えば、

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