筆者は今年3月末に仙台に取材に訪れた。筆者が所属している武蔵大学社会学部メディア社会学科松本ゼミではこれまでに被災地を数多く訪れ、さまざまな取材や震災が発生した直後にはボランティア活動などを行い被災地の「現状」を伝えてきた。そして今回その集大成として被災から「5年」経った仙台を取材のため訪れた。(武蔵大学松本ゼミ支局=有井 優太・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

現在の仙台駅東口バスターミナル付近

現在の仙台駅東口バスターミナル付近

まず筆者が仙台に到着して思ったことは驚くほどにきれいに整備されている仙台駅周辺であった。震災の爪痕など全く感じさせないほどの綺麗さであった。

さて、題名にもある通り今回筆者らはせんだいメディアテークで定期的に行われているてつがくカフェ@せんだいの取材を行った。

てつがくカフェ@せんだいとは、福井大学医学部准教授の西村高宏氏が有志で募ったメンバーと共に不定期開催している「カフェ」形式のイベントである。その名の通り参加した人々はワークショップ形式で対話を行い、日々の中にある哲学的な問いについて語り合い自分の中にある日々に対する不安や疑問を解決していこうという営みである。

てつがくカフェ@せんだい 福井大学医学部准教授の西村高宏氏

てつがくカフェ@せんだい 福井大学医学部准教授の西村高宏氏

西村氏は臨床哲学を専門としている。しかし臨床哲学とはなんなのか、筆者もその疑問が浮かんだ。西村氏によると臨床哲学とは高尚な哲学ではなく、私たちの日々の中にある哲学的な疑問などをよりわかりやすく解消していこうという学問、とのことである。

震災から5年経ったとはいえ未だに心に傷を抱えている人も多くいるとのこと。参加する多くの人々が終了後に心のわだかまりを解消できるそう。一人で抱えることで解決できることは少ないがぶつかりながらも人と関係を持つことによって新たな視点を得て、ふさぎ込んでいたことから解放される方も数多く入りとのことである。

また参加しているスタッフも専門性の高い有識者から過去に参加してスタッフとして運営を支える側になった方も数多くいる。中には高校生で、このてつがくカフェ@せんだいのスタッフとして活動している方もいる。

「草の根的活動ではある」。今回取材させていただいた西村氏はこう言っていた。しかしこうした小さな活動こそが被災地の復興を支えているのでないだろうか。

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