オルタナSは5月18日、武蔵大学江古田キャンパスでソーシャルビジネスを研究する自主ゼミを開いた。このゼミは、武蔵大学社会学部メディア社会学科松本ゼミの協力のもと、毎月1回実施されている。第2回目の開催となったこの日は、ソーシャルビジネス業界売上トップのボーダレス・ジャパン(東京・新宿)鈴木雅剛・代表取締役副社長をゲストに招き、「ソーシャルビジネスのつくり方」をテーマに講義してもらった。(武蔵大学松本ゼミ支局=舛田 貴司・武蔵大学社会学部メディア社会学科3年)

ソーシャルビジネスと通常のビジネスの違いについて講義する鈴木氏

ソーシャルビジネスと通常のビジネスの違いについて講義する鈴木氏

鈴木氏は、ソーシャルビジネスと通常のビジネスの違いに関して、3つの視点から説明した。1つめは「出発点の違い」。ソーシャルビジネスは社会問題を解決したいという思いから始まる。つまり、市場のあるなしにかかわらず、社会問題ありきで参入し、そこから事業を考えていく。一方、通常のビジネスはマーケットを見つけ、商機を見出してから、ビジネスモデルを考える。

2つめは「やり方の違い」。社会問題の解決を掲げた以上、途中で撤退してしまっては、困っている人を助けることができない。一度、事業を始めたら、自分自身が持っているキャパシティの範囲内で、持続可能な限り続けていくことが大切だと力を込めた。

最後は、「成功の定義」について。通常のビジネスは売上・利益が成功の基準として測られるが、ソーシャルビジネスは違う。売上・利益に加えて、あくまでもその解決すべき社会問題に対してどのくらいのソーシャルインパクトを出すことができたのかが成功の定義となる。

講義の後半は、実際の社会的企業のビジネスモデルについて研究した。5~6人で1グループをつくり、その事業が、誰の、どんな状況を変えているのか、そして、ソーシャルインパクトについて、調べた。各グループが調べた結果を報告して、参加者同士でディスカッションしながら、ソーシャルビジネスについての知識を深めた。

鈴木氏の熱の入った講義に参加者の真剣なまなざしで聞き入っていた

鈴木氏の熱の入った講義に参加者の真剣なまなざしで聞き入っていた

第2回目を終えて、著者自身、「ソーシャルビジネスと通常のビジネスの違い」について、理解できるようになった気がしている。6月から、2018年卒のインターンが正式に解禁となり、業界・企業を研究する機会が増えていく。その際に、この2回目で得たソーシャルビジネスと通常のビジネスの違いを意識しながら見ていきたいと感じた。

ディスカッションにも熱が入り予定時間を超えるほど、内容密度の濃いゼミとなった

ディスカッションにも熱が入り予定時間を超えるほど、内容密度の濃いゼミとなった

第3回目の自主ゼミは6月15日(水)18時半から武蔵大学江古田キャンパス(7号館3階スタジオ)で行われる。講師には、NPOのコミュニケーション支援を10年間行ってきた、加形拓也氏(特定非営利活動法人NPOコミュニケーション支援機構(a-con)理事長/株式会社電通 マーケティングプランナー・サービスデザイナー)を招く。テーマは、「ソーシャルビジネスの広報戦略」。社会問題を解決する事業は、どのようにして伝えればよいのか講義する。大学生・社会人問わず参加可能。詳しくはオルタナSの「オルタナS自主ゼミ開講!「ソーシャルビジネス」を研究」の記事を参照していただきたい。

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