伊藤忠商事は7月20日、サントリーホール(東京・港)で、第2回伊藤忠サマーコンサートを開催する。指揮は高原守氏が務め、演奏を行うニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル(以下NYSE)と高校生との協演も見所の一つだ。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

高原氏は約2時間、三田高校を指導した=5月26日、都立三田高等学校で

高原氏は約2時間、三田高校を指導した=5月26日、都立三田高等学校で

伊藤忠商事では、CSR活動の柱として、地域貢献、次世代育成を掲げている。同社では、1992年からメセナ活動としてNYSEを東京本社のロビーに招き、コンサートを行ってきたが、昨年からより多くの人が気軽に音楽を楽しめるよう、サントリーホールに場所を移し、若手育成に力を入れるNYSEと共に、地域の高校生との協演を企画した。

サントリーホールで行うのは2回目だが、昨年の都立青山高校との協演につづき、今年は都立三田高校と協演を行う。「昨年の協演では約3か月弱の練習で高校生達が格段に成長し、一生懸命な演奏で、関係者のみならず一般のお客さんも感動の渦につつんでくれた。この共演で、音楽が好きな高校生がより音楽に興味を持ってくれたり、刺激を与える機会になると嬉しい。今年はコーラスも加わる予定で、今から楽しみ。」(同社関係者)

NYSEは、若手演奏家を積極的に起用することで知られ、過去には10歳の少年を迎えて協演したこともある。今回の指揮者・高原氏は25歳で渡米し、レナード・バーンスタイン氏に師事。現在は、NYSE全体のプロデュースを行う。

指揮台から部員に、各楽器の演奏の仕方を指示する高原氏=5月26日、都立三田高等学校で

指揮台から部員に、各楽器の演奏の仕方を指示する高原氏=5月26日、都立三田高等学校で

■音楽の重要な基礎「五度圏」

高原氏は5月26日、都立三田高校を訪れ、管弦楽団、コーラス部を指導した。今回、舞台に上がるのは1・2年生を中心にした部員。

3歳からピアノを始めた井出哲さん(三田高校3年)は、「第一線で活躍するプロの指揮者と接するのは、今回が初めて。思い切って音を出して、楽しみたい」と話した。井出さんは、高校卒業後、教育学を学び、将来は音楽教諭になることを目指している。

練習する井出さん=5月26日、都立三田高等学校で

練習する井出さん=5月26日、都立三田高等学校で

高原氏からの教えを受け、井出さんは、「五度圏を知って、音楽への理解が深まった」と言う。五度圏とは、音楽理論で使われる基礎用語で、調とコードの関係を示した円形の図を指す。調の早見表として活用されている。

「五度圏が分かれば、どんな楽譜もすぐに理解することができる。音楽をする上で、とても重要な基礎の一つだが、教える人は多くはいない」(高原氏)

三田高校の管弦楽団はNYSEと共演し、「チャイコフスキー/祝典序曲「1812年」作品49(合唱版)」を演奏する。高原氏は、この曲について、「にぎやかな曲だが、平和への祈りが込められている」と言う。

1812年はナポレオンがロシアに遠征した年。「曲が作られた歴史的背景も学び、楽しみながら演奏してほしい」と話した。

【第2回伊藤忠サマーコンサート/ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル東京公演】
とき:7月20日(水)(開場)18:30 (開演)19:00
ところ:サントリーホール
指揮:高原守
チケット料金:S席4000円 A席3000円
チケット販売サイト:https://www.funity.jp/itochusc/

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