映像に興味はあるが、作り方が分からない。ビデオカメラで撮影はしたが、見せる場がない。そういった人たち向けのカフェが仙台にある。初心者からプロまで、誰もが気軽に映像を発信し、仲間と共に語り合う場、そんなあたたかいコミュニティを訪ねた。(学生による被災地支援のための市民メディアプロジェクト支局=藤井 亜美・武蔵大学メディア社会学科3年)
そのカフェの名称は、「映像カフェせんだい」。仙台市を中心に活動している市民メディアグループが開いており、毎月1回仙台市生涯学習支援センター5F会議室で活動している。
筆者たちは3月に行われた上映会に参加した。「映像カフェせんだい」には、自由な作品を見たい、映像を作ってみたいと考えている市民が集まる。各自が持ってきた作品をみんなでお茶をしながら鑑賞し、感想を述べ、情報交換を行う。。
この日は6つの作品が紹介された。内容は朝市、東西線開通、お花見、震災など様々あった。。それぞれが作りたい作品を自分なりに編集し紹介した。その中には、今回初めて映像を作った人や、写真だけをスライド形式で流した人、作品の途中経過を紹介する人などもいた。
特徴は、1つの作品を見終えるたびに、みんなで語り合うこと。参加しているメンバーには、映像制作会社で働いていた人もおり、映像技術のスキルアップになる。
「映像カフェせんだい」ができたのは2010年6月。カフェマスターの久保田順子さん、関本英太郎・東北大名誉教授のらが集まり、カフェスペース「goban tube café」で始めた。
その後、東日本大震災が起き、継続することが厳しい状況に陥ったこともあった。だが、開催場所を変えながら、当初からのスタイルは変えずに継続している。
東日本大震災が起きたからといって、映像制作の内容が震災に偏るわけではないという。もちろんそれぞれが震災について関連した映像を作ることはあるが、あくまで1つの作品としてほかの作品と同じように扱われる。
ある参加者は、震災をテーマに、みんなでそろって映像制作することはできないと言った。「そういうものは自分たちアマチュアがやることではなくプロがやるもの。私たちはそこまで踏み込むべきではない」。
実際に震災に遭い、恐怖を体験したことで、それだけ震災に対して重く受け止めていることが伝わる。
自分たちは自分たちのできる範囲で、楽しみながらやる。これが「映像カフェ」の在り方だ。
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