屋根にコケを乗せた車「やぁね、こけちゃっカー(屋根苔着車)」でスナゴケの有用性をPRする泉原一弥さん(53)。この車は泉原さんが経営する「さくらや・いずはら集配専門クリーニング」(大阪府・岸和田)の営業車だ。

「やぁね、こけちゃっカー」に乗ってスナゴケをPRする


屋上緑化の素材として活用されるスナゴケをより多くの人に伝えることを目的とした取り組みは今年6月19日で1周年を迎えた。

「やぁね、こけちゃっカー」の考案者でもある泉原さんは元園芸高校の教師で、1996年から無店舗型のクリーニング店を営んでいる。同店ではハンガーや包装用のビニール袋を回収しリユースを行うなどエコに配慮した経営をしている。また教師時代の経験を生かし、高校でも非常勤講師として園芸や農業の授業を教えている。

経営者、教育者としてエコを広めてきた泉原さんが次なるエコの啓蒙活動として着目したのが屋上緑化だった。そこで思いついたのがクリーニング店の店舗でもある営業車の屋根を緑化するというアイデアだ。

車の屋根に植物を取り付けるという試みは苦難を極めた。芝なども検討したが車の屋根の上は強い風や日光に晒されるため、通常の植物を育てるには厳しい環境だった。試行錯誤を重ねた結果、厳しい環境でも育つことができる植物スナゴケを車の屋上に設置することに成功した。

「スナゴケは乾燥に強く、日向でも育つ。手入れも必要ないので、施工してしまえば半永久的に利用できます。屋上緑化には最適な植物であるスナゴケの存在をもっと多くの人に知ってもらいたい」と泉原さん。

完成後は屋根にコケがついた車として、地元のメディアに取り上げられ、講演の依頼も増えている。さらにエコジャパンカップ2011では入選を果たしている。(オルタナS関西支局特派員=岸田勇人)