筑波大学の学生団体SB.lab(エスビーラボ)は毎月1回の勉強会を通して、社会的課題を事業で解決するソーシャルビジネスを学内に広めている。10月には、学内で100人規模の講演会を企画しており、ゲストに社会起業家を招く予定だ。就職活動生らに、ソーシャルビジネスを伝えることで、学生の価値観や進路選択の幅を広げることを目指す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
エスビーラボを立ち上げたのは、西森千咲さん(筑波大学心理学類4年)。西森さんは社会貢献活動に興味を持ち、大学ではボランティアサークルに所属し、活動を続けた。活動を通して、「一つひとつの取り組みには意義を感じるが、継続性に疑問を持った」という。就職活動を始め、社会貢献をしながら働くことはできないのか――そんな思いを漠然と抱きながら企業を周った。そのときに西森さんはソーシャルビジネスを行う事業者に出会った。社会的課題を解決することを主眼に置いたビジネスがあると知り、「価値観が広がった」。この経験を進路で悩む同世代の学生にも伝えたいと思い、今年2月にエスビーラボを立ち上げた。
団体には筑波大生6人が所属しており、毎月1回ソーシャルビジネスを学ぶ座談会を開いている。今年10月には、学内で100人規模の講演会を開き、社会起業家を複数人ゲストで招く。現在、クラウドファンディングでその企画費を募っている。
■「お金ではない価値観得られる」
ミレニアル世代(1980年代後半生まれ)は、社会性が高い傾向にあると言われている。西森さんもその世代の一人。大学からボランティア活動を始めたきっかけは、高校1年生のときに経験した東日本大震災にある。西森さんは、「何かしたいが、何もできない自分に悔しさを覚えた」と振り返る。大学生になったら、チャレンジしたいと決め、ボランティア活動を始めた。
西森さんは、「ソーシャルビジネスに興味を持つ潜在層は多いはず」と言う。毎月の座談会で集まるのは10人ほどだが、ソーシャルビジネスをまだ知らないだけで、「知れば興味を持つ。潜在層に呼びかけていきたい」。
ミレニアル世代が社会貢献に興味を持つ背景として、西森さんはこう分析した。「お金をかければ、たいていのものは手に入るし、いまではユーチューブのような、無料サービスも多くある。そのようななかで、人に貢献して得られる喜びはそれとは異なる。だから、社会貢献に惹かれるのではないか」。
座談会に参加した学生からは、「就職活動の選択肢の一つになり、視野が広がった」という声が聞かれている。
・西森さんが挑戦中のクラウドファンディングはこちら
[showwhatsnew]