熊本地震から3カ月が経とうとしている。東海大学のヒビの入った教室の壁は板で覆われた状態であり、今でも授業中にたびたび余震による揺れを感じる。再開へ向けた学生向けガイダンスでは、授業中に地震が発生した場合の対処法を指導され、教員には避難経路や注意点をまとめたマニュアルが配布された。学生は地震の影響で遅れた時間を取り戻そうとこれまで以上に授業に出席しているように思える。(東海大学熊本キャンパス 復興支援チームVukki=堀 静夏・経営学部経営学科1年)

白板で覆い隠された壁 と余震時の対策マニュアル

白板で覆い隠された壁 と余震時の対策マニュアル

農学部の現状と再開

地震後に休講が続いていた農学部は6月30日に学生向けガイダンスを実施し、7月1日から授業が約2カ月半ぶりに再開された。

熊本県内でも特に被害の大きかった南阿蘇村に校舎を構える阿蘇キャンパスは、未だにキャンパス内への立ち入りが禁止されている。東海大学の方針として、少なくとも今後2年間は農学部の授業は熊本校舎で行われることとなった。

農学部は教室での講義だけでなく、熊本名産の赤牛や馬、豚などの家畜の飼育を実習で行っている。そのため、実験・実習については熊本県立農業大学校など国や県の施設を借用して行われる方向で調整している。

阿蘇キャンパスへ向かう主要道路の一つ阿蘇大橋は崩落した状態だ

阿蘇キャンパスへ向かう主要道路の一つ阿蘇大橋は崩落した状態だ

農学部は休講期間が長かったため授業時間が2時間15分と通常より45分間長くなり、また1限から5限まであるために学生にとってはかなり厳しいスケジュールとなった。通い慣れた阿蘇キャンパスから熊本キャンパスへ来た学生の中にはキャンパス内の移動に戸惑い、教室の場所を尋ねる学生の姿も多く見られた。

農学部と熊本キャンパスの授業スケジュール

農学部と熊本キャンパスの授業スケジュール

■阿蘇復興に向けた農学部の学生との連携

農学部が熊本キャンパスで再開されたことにより、熊本キャンパスでは1,020名(農学部4学年合計)が新たに増加。交流や休憩するスペースは学生であふれている。自然が豊かで広大な阿蘇でのキャンパスライフに慣れた農学部の学生にとっては窮屈な環境での再スタートだろう。

また、度重なる余震や慣れない生活によるストレスは学生たちの心身にたまっている。熊本キャンパスではアロマオイルによるマッサージのサービスや心と体のケア&相談といった学生の不安を取り除く取り組みを開始し、炊き出しを行う団体も現れた。

 

東海大学熊本キャンパス内で行われた炊き出しとキャンパス内の七夕の笹にかけられた短冊

東海大学熊本キャンパス内で行われた炊き出しとキャンパス内の七夕の笹にかけられた短冊

農学部の学生の中には、私たち復興支援チームVukkiの活動に関心を持ち、農業ボランティアや阿蘇をメインとしたボランティア活動に意欲を持つ学生も多い。今後は農学部の学生とも協力して復興が遅れている熊本への支援活動を行っていきたい。

 

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