TVは観ない、モノは買わないなど、イマドキの若者の特徴的な傾向はつかみづらい。しかし、若者が持つ枠ごとに見ると特徴が見えやすいと話す若手研究者がいる。若者の持つ枠とは何か。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

若者の特徴を知るためには、若者文化に入り込んでいかないと見えてこないと言う

若者の特徴を知るためには、若者文化に入り込んでいかないと見えてこないと言う石倉氏

7月20日、特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパンは第9回ステークホルダー会合を開いた。その会合のゲストスピーカーとして、ビデオリサーチの石倉裕大・ひと研究所VRわかものラボリーダーが登壇した。石倉氏は、18~24歳をメインターゲットとして、消費行動などを研究している。

石倉氏はイマドキの若者は枠を持っていると言う。枠とは、自分たちだけが共有している「ルールや不文律」のようなものだ。

若者が枠をつくった要因として、「消費社会の成熟」「社会保障の不安」「ゆとり教育」などをあげた。モノに満たされ、リスクを取らなくなり、調和を重んじるようになった。その結果、大人から見ると、差が見えなくなっているという。

若者たちは生まれたときから、すでにインターネットがあり、人類初のデジタルネイティブ世代だ。行動や発信がネット上に残るため、同調圧力で自由度が低下している。そのような要因から、自分たちの居場所として、枠をつくった。石倉氏は、「枠は安心・快適な空間なので、あえて外に出て行く必要がなくなる」と分析する。上司との飲み会に消極的で、好きな人だけで飲みに行くという傾向がその一つだ。

やっかいなのは、外側からはその枠は見えず、どれも同じように見えてしまうこと。石倉氏は若者の文化に自ら入り込むことによって、枠を分析した。

枠を6タイプに分けた。その6つとはこうだ。

それぞれの枠ごとに刺さるキーワードは異なる 資料提供:

それぞれの枠ごとに刺さるキーワードは異なる 資料提供:石倉氏

■前向きオープンタイプ
特徴:意識が高い、ブランディング・発信力がある、
消費傾向:自分を高めてくれるものを消費
興味を持つワード:情熱的

■ノリノリオープンマインドタイプ
特徴:おしゃれ・美容に詳しい、コミュニケーションが活発
消費傾向:ノリや勢いで消費。自分が楽しいから大人買いなどをする
興味を持つワード:ハラハラドキドキ

■優等生オープンマインドタイプ
特徴:頭が切れる、要領が良い、
消費傾向:自分の地位を高めてくれるものを消費
興味を持つワード:まじめさ

■周りに合わせるリアリスト協調タイプ
特徴:周りにうまく合わせる、流行を追う
意思決定の基準:周囲の意見を取り入れてから意思決定
興味を持つワード:エレガント

■もやもや協調タイプ
特徴:周りに仕方なく合わせいる、行動力はあまりない
意思決定の基準:自ら行動はできないので、周囲に合わせざるを得ない。意思決定は比較して決める。自己の基準はなし
興味を持つワード:特になし

■マイウェイタイプ
特徴:興味・関心分野を深堀する、好き嫌いが判断基準、オタクに多い
意思決定の基準:自分の意思で決める
興味を持つワード:合理的

この6つの枠の構成比はそれぞれ13~20%と大差はない。モノを買わず、TVも観ないことで、特徴をつかめづらいとされるイマドキの若者にアプローチするには、枠ごとに引っかかるワードを活用していくべきだという。

■若者とフェアトレード

石倉氏は若者とフェアトレードを結びつけるための施策を提案した。課題として、「理解を得づらい」「お金がない学生には商品が高価格」「供給側の問題」をあげた。サステナビリティは「無理なく続けることがキー」と言う。

そのうえで3分野の改善を訴えた。認知・理解・行動の促進だ。社会貢献意識は年々高まっており、若者の意識のベースに社会性はある。そこで、フェアトレード商品に触れる機会を増やすことを求めた。

[showwhatsnew]