国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは7月20日、「オーガニックで目指す地域に根ざした販売戦略とは」と題したセミナーを開いた。ゲストで登壇したイオンアグリ創造の南埜(みなみの)幸信・生産本部事業企画部長は、「生産者と販売店でネットワークをつくり、流通の仕組みさえ整えれば、オーガニック食品も他と変わらない価格にできるはず」と話した。日本でオーガニック食品が広がらない原因を分析し、小売店ができる試みを提言した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

グリーンピース・インターナショナル科学部門名誉研究員食と農業担当のレイエス・ティラド氏も登壇、オーガニック市場の未来について話した

グリーンピース・インターナショナル科学部門名誉研究員食と農業担当のレイエス・ティラド氏も登壇、オーガニック市場の未来について話した

南埜氏は、「マーケット(スーパーや生協などの販売側)が動けば、必ず生産者は動きだす」と強調。その理由として、オーガニック生産者の平均年齢は59歳で、日本全体の生産者の平均年齢と比べて7歳若い。40歳未満の若い生産者は9%だ。(日本全体の40歳未満の生産者は5%)

南埜氏によると、新規就農希望者の9割が、オーガニックに関心を持っているという。出口戦略(販売経路)が決まれば、オーガニック拡大のエネルギーが一気に動きだす可能性がある。

一方、小売店が抱える課題としては以下がある。

・オーガニック専門の中間流通業者が乱立したことで、少量で高価格の流通構造ができた
・一般のクール便を使わなければいけないなど、産地からの流通費増
・店舗と生産者のネットワークがなく、生産者の経営が不安定
・栽培や収穫の量が不安定
・除草人件費など、栽培コストが高い

なかでも、オーガニック食品の流通システムが整っていないことは大きな課題だ。流通や栽培費用が増えることで、値段が高くなり、さらに、産地から店舗に届くまで時間がかかることで鮮度が落ちる。これらは消費者がオーガニック食品を選びにくくする要因になっている。

日本の消費者がオーガニック食品にかける年間平均出費額は1040円(2009年)。米国は8450円(2010年)、EUは4766円(2010年)だ。(出典:オーガニック産業発展のための政策提言~EU・アメリカ・日本を比較して~)

南埜氏は、「生産者と販売店でネットワークをつくり、流通の仕組みさえ整えれば、オーガニック食品も他と変わらない価格にできるはず」と提案した。

[showwhatsnew]