ヨルダンに住む林芽衣さんは2014年、オリジナルブランド「Tribalogy」を立ち上げた。同ブランドでは、中東の部族文化が持つ伝統的な生地や刺繍を使った商品を展開している。作り手は、シリア難民とヨルダン人女性。彼女たちの収入につなげ、経済的そして心理的に支援している。このブランドを立ち上げた背景について寄稿してもらった。

はじめまして、ヨルダン在住の林芽衣です。
8年前、イタリアのファッション業界で働いていた時に初めてヨルダンを訪れました。
そこで現地の自然の美しさに魅了され、移住を決意し、4年間南部のベドイン民族と共に砂漠の中で生活しました。

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ヨルダン移住後の2011年、隣国シリアでは内戦が勃発し、ヨルダンにも大勢のシリア人が避難してきました。大変な状況に置かれた方々の姿を目にするうち、貧困に苦しむ難民やヨルダン人のために何かできないかと考え、難民支援活動に参加をする事を決めました。

そして、私は中東の部族文化が持つ伝統的な生地や刺繍を使った商品を展開するオリジナルブランド「Tribalogy」を2014年に立ち上げました。「Tribalogy」は、シリア難民とヨルダン人女性が一つ一つ手作りで完成させた商品を、販売する事で、雇用の機会に恵まれない女性達の収入創出に繋げています。こうして、生きる目的や希望を無くしてしまった人々を、経済的そして心理的にサポートし始めました。

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■必死に逃れて来た地で迎える新たな困難

内戦で家や家族を無くし、荷物も持たずに逃げてきたシリアの人々を待ち受けているのは、厳しい現実です。無事にヨルダンに辿り着いたとしても、就労許可がなかなか取得できないため、収入が無く貧困に苦しんでいる難民も多いです。

私達は、少しでも貧困に苦しむシリア難民やヨルダン人女性のための収入の創出を作り出すために活動を続けてきました。商品の作成作業はほぼ自宅で、報酬は担当(刺繍、フィニッシング加工等)した作業に対して、商品の販売を待たずすぐに支払われる仕組みになっています。

こうした活動を続ける中で、暗い不安げな表情をしていた女性達が、仕事に就く事で安心して明るい笑顔を見せてくれる瞬間に何度も立ち会う事ができました。そこで、彼女たちの笑顔をさらに増やしていくためにも、新商品を展開し、さらなる雇用の拡大を目指す事ができる充実した作業環境を整えるために、資金集めのキャンペーンをREADYFORというサイトで開始しました。こちら

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■収入面だけではなく、精神面を支える「Tribalogy(トライバロジー)」の取り組み

私達がサポートする女性の多くは、過去に辛い経験をしています。そうした彼女達が、何かを製作する事に集中していると、辛い思い出やネガティブな考えが不思議と遠ざかっていくのだと話してくれました。

そして、たとえ僅かでも、自分が稼いだお金で家族に美味しい食事を食べさせたり、子どもに洋服や勉強道具を買ってあげたりと、母親としての幸せを実感する事により、失いかけていた人生の意味を再び見出す事ができるのだと言います。

良い商品を作り上げ、それが売れた時の達成感と自信が、経済面だけではなく、彼女達の精神面も支えているのです。

私達は、内戦で故郷を追われた女性たちや貧困に苦しむ女性たちが、希望のある毎日を一日も早く取り戻すことを心から願っています。
そのためにも、みなさまの温かい応援を、どうぞよろしくお願いいたします。

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