渋谷区や原宿を拠点とする複数の事業者が連携し、原宿の街を「エシカルタウン」として発信していく取り組みが始まった。エシカルな価値観を持つファッションブランドやイベントをつなげ合わせ、おしゃれな「ストリートエシカル」を街全体で広げていく。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
この取り組みを立ち上げたのは、一般社団法人エシカルタウン原宿。10月18日、東郷神社 和楽殿(東京・渋谷)で記者会見が行われた。登壇したのは、アパレル事業を展開するハイパーハイパー(東京・渋谷)の早川千秋・代表取締役、老舗ニットメーカー ジム(東京・渋谷)の八木原保・代表取締役、俳優の伊勢谷友介氏が立ち上げたリバースプロジェクト(東京・港)の亀石太夏匡・代表取締役、長谷部健・渋谷区長ら。
会見では、ハイパーハイパー社が25年経営してきたショップ「ギブライフ」をエシカルを発信するコンセプトショップにしたことを発表した。同ショップを改装したのは、リバースプロジェクト。伊勢谷友介氏がデザインに加わり、工具を握って、リノベーションした。
内装デザインには、もともと「ギブライフ」にあった資材をすべて再利用し、新しく使用した材料はすべて古材を使った。鹿のオブジェを展示し、生命の尊さと再利用で楽しむエシカルファッションのコンセプトを表現した。エントランスのフリースペースには自由に交流できる、ベンチスペースを設けた。
同店舗では、既存の商品に加え、エシカルファッションブランドのアイテムを新たに揃えた。今後、同団体では、エシカルなマインドを持つ原宿のファッションブランドと組み、おしゃれな「ストリートエシカル」を伝えていく。
リバースプロジェクトのPR担当は、「現時点では、エシカルを知らない若者のほうが多いと思うが、クリエイターの力を借りながら、原宿の若者にも好まれるファッションアイテムを販売していきたい。地球や未来のことを考えて消費をしていく提案ができれば」と話す。
■「エシカルとファッション」その関係性は?
エシカルを語る際に、ファッションブランドと組み合わされることが多い。その理由は、アパレル産業の裏側に潜む劣悪な労働問題や環境汚染の問題があるからだ。
特に、異常な低価格を売りにする大量生産消費型のファストファッションブランドでは、児童労働や搾取労働が横行している。記憶に新しいのは、2013年4月に起きたバングラデシュの縫製工場ラナ・プラザの崩壊事故。ラナ・プラザは8階立てのビルで、30弱のブランドのアイテムが作られていた。
このビルは、政府の建築許可を得ないで、地元の政治家らによって違法に建てられた。ビル内には、亀裂がいたるところに見られ、労働者がビルオーナーに知らせたが、改築は行われなかった。事故により、死者数1127人、負傷者2500人以上に渡った。
[showwhatsnew]