エシカル発祥の地・英国では、エシカル消費をムーブメントにした5ステップがある。エシカル消費とは、社会問題の解決に寄与する消費行動のこと。同国でエシカル消費を広めた先駆者は、「バイコット、調査、エシカルな企業との連携、認証ラベル、ランキングの5段階で発展してきた」と話す。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

雑誌「エシカル・コンシューマー」主筆のロブ氏=10月2日、立教大学池袋キャンパスで

雑誌「エシカル・コンシューマー」主筆のロブ氏=10月2日、立教大学池袋キャンパスで

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” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]10月2日、NPO法人アニマルライツセンター、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)などの4団体は、立教大学池袋キャンパスでエシカル消費と動物への配慮を考えるシンポジウムを開いた。

基調講演には、雑誌「エシカル・コンシューマー」主筆のロブ・ハリスン氏が登壇した。ロブ氏は、英国でエシカル消費を広めた第一人者だ。1989年、マンチェスター大学の学生時代に、友人らと同誌を立ち上げた。狙いは、消費者の消費の力で社会変革を起こすこと。

彼らは、企業・サービスのエシカル度を測定する基準もつくった。それは、「エシスコアー」で、「環境・動物・人権・反社会勢力支援の有無・持続可能性」の分野で得点をつけている。この基準で測定された企業は5万件を超える。

エシカル・コンシューマーの調査では、英国のエシカル消費市場は5兆8千億円(2013年、前年度比9%増)。チャリティー文化が根付く同国では、社会問題の解決を目指したバイコットも盛んだ。約2割の英国人が、エシカルではない企業の不買運動を起こしているという。この割合は大学生が顕著で、3割に及ぶ。

今回、ロブ氏は、日本でエシカル消費を拡大していくための提言を行うため、基調講演を行った。そこで話したのが、ヨーロッパで起きているエシカル消費運動のあり方だ。まず始めに挙げたのが、消費者のバイコット。そして、評価機関による調査。その次に、エシカルな企業との連携、認証ラベル、ランキングと続く。この5ステップを経て発展してきたと説明した。

講演では、動物への配慮についても言及した。1990年には鶏卵生産の方式はバタリーケージが9割であったが、2016年には放牧生産が50%以上に増えてきた。バタリーケージとは、ワイヤーでできたケージの中に閉じ込めて飼育する方法のことを指す。

一つのケージの中には、複数の鶏を入れているため、つつき合いの喧嘩が起きる。弱い鶏は、十分に餌を食べられなくなることもあるという。このようなストレスフルな環境で、1年間卵を産み続け、廃鶏として出荷され、チキンエキスやペットフードになる。日本でバタリーケージを採用している養鶏場はいまだ92%に及ぶ。

ロブ氏は、消費者のボイコットを起点に運動を広げていき、社会を変革していくべきと強調した。