生徒会と生徒の壁をなくすための「サミット」が毎年開かれている。主催しているのは、有志で集まった高校生徒会の役員たち。全国から100人以上の生徒会長らが集まり、「なぜ生徒会に興味を持ってくれないのか」という悩みを泊まり込みで話し合う。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

全国から集まった生徒会役員が議論を交わす

全国から集まった生徒会役員が議論を交わす

このサミットの名称は、「全国高校生徒会大会」。主催しているのは、学校でも、行政でもなく、有志の高校生たち。独自に組織をつくり、30人弱が集まった。全員、高校生徒会の役員たちだ。

このサミットは、毎年3月頃に開かれる。2017年で5回目を迎える。目的は、「高校生徒会のあり方や課題について話し合うこと」だ。参加者は、各グループに分けられ、「生徒との壁」、「先生との関係」、「地域交流」などのテーマを話し合う。

高校生徒会の役員が他校の役員と交流する機会は、地域ごとでしかなかった。そのため、このサミットを機に、全国の役員とつながることができた。お互いの高校で上手くいった事例を共有し合うことで、視野が広がると評判だ。

昨年のサミットには、21都道府県から110人の生徒会役員が、会場となる東京の施設に集まった。集客は、主催組織がSNSや口コミで広げた。サミットの宿泊費・交通費は個人負担だが、北は岩手、南は佐賀からの参加者もいた。

■三権分立の灘高

次回のサミットは、来年3月27日から3月30日にかけて開かれる。場所は、衆議院第一議員会館。実行委員長の栗本拓幸さん(浅野高校2年)は、「話し合った成果をマニュアルにして、各自が学校で生かしてほしい」と話す。

実行委員長を務める栗本さん

実行委員長を務める栗本さん

生徒会は、部活動の予算配分、文化祭・体育祭の運営など、裏方として重要な役割を果たしているが、「多くの生徒会が、生徒との壁を感じている」と栗本さん。定期的に広報誌を発行したり、生徒から学校への意見を集める目安箱を設けたりしているが、興味を持ってくれないという声が多数だ。

しかし、栗本さんは、「壁などない」と言い切る。「生徒会も生徒。そして、生徒は生徒会の会員。そもそも区切りなどない。こちらの見方を変えなくてはいけない」。

サミットでは、全国の生徒会の運営方法が分かり、視野も広がる。栗本さんは、好事例として、全国有数の進学校である灘高校を挙げた。広報誌は生徒会が発行している高校が多いが、灘高校は違う。同校では生徒会の役割を果たす中央委員会以外にも、新聞委員会と評議会があり、この3つの組織が同等の権限を持っている。

そのため、選挙での不正や学校運営上の問題点が出ると新聞委員会が広報誌に書く。お互いの組織が監視し合う三権分立制度を取ることで、生徒主体の健全な学校づくりが進んでいる。

■「生徒は意外と見ている」

栗本さんは中学1年の冬に浅野中学・高校生徒会の副会長に立候補した。それ以来、生徒会役員を務め、現在は生徒会長だ。

子どもの頃から、世界辞典を読むことが好きで、仮想の国や会社をつくって遊んでいたという。中学校に入り、学校の運営に関わる生徒会の存在を知り、興味を持った。

全国高校生徒会大会には、2015年春に開催された第3回大会に参加者として、参加した。中学3年生だったが、全国から集まってきた高校生徒会長らと話すことで、「おもしろく、刺激を受けた」。

栗本さんは、「生徒たちは意見を口にはしないが、考えているし、意外と見ている。生徒会側が、どうコミュニケーションを取るのかが大事。生徒が無関心と嘆くのではなく、生徒会の努力が足りていないと認識することから始めたい」と大会へ向けて意気込む。

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