スタンディングロックに滞在していた時、環境問題を扱う弁護士のフィン・ドゥリー氏に話を聞くことができた。フィン氏は、退役軍人でもあり、科学の教師でもあったという。「ダコタ・アクセス・パイプライン」の件で、多くの人が石油の発掘がいかに環境を汚染するのかに気付けば、環境意識が高まる契機になると語ってくれた。(文・写真=森本 洋子)

環境問題を扱う弁護士のフィン・ドゥリー氏

環境問題を扱う弁護士のフィン・ドゥリー氏

今回、石油を製造するにあたって、「ターサンド」と「フラッキング」と呼ばれる手法を使う。フィン氏はこの2つの手法について説明した。

ターサンドとは、ビチューメントと呼ばれる石油根元岩で生成され、炭化水素で作られた液状の石油と同じ分子を持つ物質を採鉱、精製し石油を製造することである。

このビューチメントはオイルサンド層の砂粒に付着している半固体であり、炭化水素で加温することによって、流動性を得て、砂と分離される。重金属などを多く含み、残留炭素分が多く、そのままでは精製装置にはかけられない。アップグレーディング装置で分解と不純物排除を行う。この装置で、窒素や重金属の削除を行う。

1ガロン(約3.785リットル)のガソリンをこの方法で作ると通常より15%以上の二酸化炭素が発生し、5.9ガロンの水が精製に必要になる。

精製に使われた水は汚染されており、この水が地下水、川に流れ込むと非常に危険である。この汚染された水には砒素、鉛、水銀などが含まれており、人間の脳に異常を起こすことや、近辺の生物を汚染させると懸念されている。一度ターサンドで掘り起こされた場所は、二度と元には戻らず、何も育たない死んだ土地となる。

フラッキングとは、地下の岩体に特殊な砂粒、酸、防腐剤、ゲル化剤など化学部質を添加した水を注入して、亀裂を生じさせ、天然ガスや、石油の掘削を行う手法。

その際に、化学物質による地下水の汚染、大量の水を使うために掘削している地域の水の不足の可能性、排水による汚染問題や、排水の地下圧入による地震発生の危険性などの問題点がある。

どちらの石油発生手法も、汚染の問題が山のようにある。パイプラインを引いた後の事故も後を引かない。

残念なことに、スー族へ、パイプライン建設中止のお知らせが届いた次の日(12月5日)に、スタンディングロックのあるキャノンボールから150マイル離れた場所で、ベレー フォーチパイプラインから13万ガロンの石油が、アッシュクーリー川に漏れていた。

これによって、約4200バレルの石油を失ったと報じられている。現時点では、なぜパイプラインが壊れたかは不明である。

これからも、石油を巡っての問題は続くと思うが、石油中毒からまだまだ米国は抜け出られないようだ。

石油を購入する際に、少しでもその石油がどのように発掘されたかを認識することによって残り少ない資源を使うだけではなく、再生可能な資源の使用がもっと可能になるように考えたい。

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