環境NGO350.org Japanは12月19日、「地球に優しい銀行選び」を促すMY BANK MY FUTUREキャンペーンのウェブサイトを立ち上げた。同団体は、日本の金融機関137社が2011年1月から2016年4月までに行った特定23社の化石燃料および原発関連企業への投融資を調査した。サイト上には、この調査結果をもとに作成した、「銀行見比べ表」を公開している。口座を変えることで、化石燃料企業からの投資撤退(ダイベストメント)を促進する。(寄稿・棚尾 真理絵)

350.orgは、化石燃料企業からの投資撤退(ダイベストメント)を促す

350.orgは、化石燃料企業からの投資撤退(ダイベストメント)を促す

350.orgとは、188カ国において地球温暖化防止に取り組んでいる国際環境NGO。温室効果ガス排出量が多い石炭・石油などの化石燃料企業からの投資撤退(ダイベストメント)を促進するキャンペーンを世界各国で進めている。

最新の調査では、世界的にダイベストメントを発表している688機関の運用資産額が5兆ドルを超えたとも言われている。日本でも、このダイベストメントを広めるために350.org Japanが2015年4月に設立された。

銀行口座の選び方で社会を変えることができる

銀行口座の選び方で社会を変えることができる

MY BANK MY FUTUREが進める「地球にやさしい銀行選び」とは環境に配慮した投資・融資を行っている銀行を探し、一般消費者に「地球にやさしい銀行」を選択できるようにする。このコンセプトを広めることで、持続可能な社会の実現を目指すキャンペーンだ。

そのキャンペーンのウェブサイトの基盤となるのが、350.org Japanが今年8月に発表した報告書だ。同報告書は日本の金融機関の137社が2011年1月から2016年4月までの間に行った特定23社の化石燃料および原発関連企業への投融資を調査したものである。その結果、日本の金融機関がそれらの持続不可能な事業に関わる企業へ巨額の投融資を行っていることが判明した。

銀行見比べ表

銀行見比べ表

MY BANK MY FUTUREのウェブサイトには、その報告書のデータをもととする「銀行見比べ表」があり、自分の銀行が化石燃料及び原発関連企業へどのような投融資を行っているかを簡単に調べられるようになっている。さらに、それには銀行へ直接メッセージを送れる機能も備え付けられている。

見比べ表には「原発に関わる銀行」や「化石燃料に関わる銀行」の他に、「地球にやさしい銀行」と記されている銀行のリストもある。ウェブサイトには「地球にやさしい銀行」の定義として「調査に用いた金融データベースや各銀行の有価証券報告書および公開関連文書に基づいて、23の特定化石燃料及び原発関連企業に対しての融資や引受、債券保有、株式保有が確認されなかった銀行のことを指します」と掲げている。

350.org Japan代表の古野真氏は、「調査の範囲はどうしても限られてしまうので、その結果の精度にも限界があります」としながら、「だからこそ、これからは『地球にやさしい銀行』のリストに入っている銀行にエネルギー分野における投融資の情報を預金者に開示し、今後持続可能な投融資方針を取り入れてもらうようにこのキャンペーンの賛同者とともに呼びかけていく必要があります。預金者に地球にやさしい銀行選びというコンセプトを広めることで、環境に配慮した銀行を増やすことがMY BANK MY FUTURE キャンペーンの目的です」と語る。

現在日本では、物を買う時にそれができ上がる工程を考慮し、それを購入するかどうかを選択する「エシカル消費」が普及している。MY BANK MY FUTUREが提案する、自分が預けたお金がどこへ流れているかを考えて、銀行を選択する「地球にやさしい銀行選び」というのは、その延長線にある。

日本の市民が銀行に預けているお金の総額を考慮すると、私たちが社会や経済に与えられる影響は決して少なくないことが分かる。私たちとしてまずできることは、自分の銀行のお金の使い道を調べてみることだ。

・MY BANK MY FUTUREの公式サイトはこちら

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