今月5日、日本初のクラウドファンディングサービス「READY FOR?」(レディーフォー)で新たなプロジェクトが始まった。札幌の任意団体「フィジカル・コミュニケーション・デザイン協会」の安部尚登代表(43)が考案した夢を叶え合うカード「かなえあい」を体験するワークショップを東京と名古屋で開催するため15万円の資金を募るという企画だ。プロジェクトを企画した安部さんに「かなえあい」のしくみ、考案された理由について聞いた。(聞き手:オルタナS特派員=高橋一彰)
――「かなえあい」について教えてください。
安部:「かなえあい」は、名刺大のカードを使ったコミュニケーションのしくみです。「かなえあい」のやり方は次のとおりです。
1.参加者2名がそれぞれカードを持ちます。
2.手順が書いてある面の裏面の上半分に、自分の名前を書きます。
3.カードを相手と交換します。
4.受け取ったカードの下半分に、相手の夢のステキなところを、2つ書きます。
5.カードをもう一度交換します。
このように、いつでも、どこでも、5分~10分あれば誰でもできます。
「かなえあい」には主に次のようなメリットがあります。
1.自分の夢を語ることによって、自分の夢と、協力者が見つかります。
2.相手の夢を聞くことによって、自分の夢も聞いてもらえて、夢を叶えようとする仲間が見つかります。
3.夢を語ると必ず褒めてもらえるので、夢を諦めません。夢を諦めない限り、どんな人の、どんな夢でも、叶います。
このように、「お互いの夢=自分のやりたいこと」を分かち合い、褒め合うことによって、お互いの夢を「叶え合う」ことができます。「社会的地位や経済力等に関わらず、個人が、他の個人の関係性によって社会をより良く変えて行くことができる、分かち合いの仕組みを目指して考案しました。
――「かなえあい」を考案されたきっかけは。
安部:私は現在、「フィジカル・コミュニケーション」という「声や表情、動作などの身体性を伴う最も基本的なコミュニケーション」に注目し、分かち合うことを円滑に、豊かにしていくようなしくみを開発することに取り組んでいます。
私はこの仕事を始める前は東京で失業していましたが、この状況を抜け出すために、以前から住みたかった札幌に移住し、現在の仕事を始めました。仕事もコネも何もなかった私が、住みたいところに住み、やりたいことをやれるのは、「やりたい!」という気持ちを表明したことと、自分がやっていることに対して「いいね!」と励ましてくれる人たちがいたからだと思っています。
自分のやりたいことを、単なる偶然や幸運にまかせるのではなく、必然的にそうなるような、誰もが夢を実現できるようなしくみをつくりたいという思い、「かなえあい」が生まれました。
――「かなえあい」の未来像について教えてください。
安部:「かなえあい」の夢のひとつとして、2014年9月までに1万人の方々に「かなえあい」を届けることです。この他にも、私が作成した現在の「かなえあい」のグラフィックデザインだけでなく、このカードが誰にでも所有したくなるようなデザインをこのカードに興味を抱いた方に作成してもらうこと、考案者の私以外のかたが、「かなえあい」のワークショップをやっていただくなど、多くの夢があります。
最終的には1対1でやっていくものなので、自分ひとりでやっていくサポートとして、「かなえあい」のしくみ、生まれた背景、実際に交換した人の変化などの経験談などを交えたひとつのテキストブックを作成したり、「かなえあい」を実践するためのコミュニティをつくることも視野に入れてます。
――安部さんの夢とは。
安部:夢はいくつもありますが、現在取り組んでいる「かなえあい」だけでなく、これ以外の「フィジカル・コミュニケーション」を多くつくることです。今までつくってきたものや、他にもつくりたいしくみがあるので、どういう形で試してみるかが私の夢です。
安部さんは最後にこのように語った。「今の世の中はある意味でやりたいことがやりやすくなっている世の中になっていると思います。しかし、現代の若者や大人は、夢を職業や大きなことと捉えがちでそれに縛られているような気がします。今自分がこれを「やりたい!」と言える環境が今の日本に必要だと思います。自分の夢は変わっても全然良いし、人に言えば言うほど、成長するものだと思います」。
今回、名古屋と東京でおこなうワークショップを参加費無料で開催するため、開催資金の15万円を来月19日までにクラウドファンディングで募る。札幌で生まれたこのしくみが、全国に広がることを期待したい。
「かなえあい」のクラウドファンディングのプロジェクトの詳細はこちら。
https://readyfor.jp/projects/kanaeai1
安部さんが代表を務める「フィジカル・コミュニケーション・デザイン協会」のホームページはこちら。
http://www.p-cd.org/