アウトドアを通して人づくりを行った人を表彰するJAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD2017が2月9日に開かれた。81人のエントリーがあった中、大賞には、広島県芸北地域で、生態系の保全などをテーマにした博物館の主任学芸員を務める白川勝信さんが輝いた。白川さんは、「人と自然の関係性を理解することができる」とアウトドアからの学びを話した。(オルタナS副編集長=池田 真隆)
大賞を受賞した白川さんは、北広島町立芸北高原の自然館で主任学芸員を務める。中国山地は「たたら」の山といわれるように、炭を焼いて製鉄し、草原で育った牛が引いて出荷していた。かつては山で砂鉄を掘る一方で、薪炭林や草原が持続的に使われていたのだ。
白川さんは、山を資源として捉え、持続的に利用する知識や技術を地元の小中学生らに伝えている。山焼きや刈り取りを体験させ、放置されていた森や草原のバイオマスを地域で活用していく仕組みを展開している。
生まれた時から、スマ―トフォンに接してきたスマフォ世代が自然を体験することの価値について、「足を踏み入れるたびに自然の変化を感じ取れる。自然なしでは生きていけないと分かり、人と自然とのお互いの関係性が理解できる」と話した。
■豊かさを測るモノサシ広がる
特別賞に選ばれた、NPO法人エコプラス代表理事の高野孝子さんは、若いうちにアウトドアを経験する価値について、「スマートフォンの画面からでは知ることができない夜空に浮かぶ星の美しさなどを見ることができて、豊かさを測るモノサシが広がる」と話す。
高野さんは、体験からの学びを重視した環境教育を国内外で行う。今年度から、JICAの支援事業として、ミクロネシア連邦ヤップ島での持続可能な社会づくりを始めている。
同アワードは、アウトドアでの人材育成を行う人を表彰するもの。2014年7月から運営委委員会を発足し、このたびが第一回目の表彰となった。
選考委員を務めたのは、自然体験活動推進協議会代表理事の佐藤初雄さん、プロ登山家の竹内洋岳さん、日本野外教育学会理事長の星野敏男さんの3人。選考委員長の星野さんは、「合計81人のエントリーがあり、日本中で多くの人たちが活動していることが分かった。活動を続けていもらい、この分野の次世代を担う若者たちを育ててほしい」と総括を話した。
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