なかなか自分に自信が持てないというあなたへおすすめの言葉を紹介します。これまで取材してきたなかで、印象に残った言葉を集めました。これから就職活動に挑む学生には、自身の悩みから自己が分かるということを、新社会人になることへ不安を抱いている人へは、先輩からのメッセージとして読んでいただけますと幸いです。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

■性同一性障害で悩む当事者がプレゼン

まず紹介したいのは、性同一性障がいであることをカミングアウトし、著書『ダブルハッピネス(講談社文庫)』でも有名な杉山文野さん。杉山さんは2012年、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなどの性的少数者であるLGBTのカルチャー・コミュニティの発展に貢献した人や団体に贈られる「Tokyo SuperStar Awards」でプレゼンしました。

Tokyo SuperStar Awardsの授賞式、2012年1月

全世界を旅した彼は各国どこに行っても「ミスターかミセスかマダムかマドモワゼルかムッシュかマダムか」と問われ続けたといいます。それでも時間が経つにつれ、各地で受け入れられていった彼ですが、最後まで彼を受け入れられない存在に気づいたといいます。それは、彼自身でした。

そんな中、ホストマザーに言われた「you have to live with yourself(あなたはあなたと生きていかなければならない)」という言葉が、自分で自身を受容するきっかけになったそうです。

「幸せは半分水の入ったコップに似ている」と例えました。「半分しか入っていないと思うのか、半分も入っていると思うかは自分次第である」と。

■「歩けない」が価値

次に紹介するのは、バリアバリュー(障がいを価値にする)というビジョンを掲げ、ユニバーサルデザインに関するコンサルティングを行うミライロを立ち上げた垣内俊哉さん。垣内さんは骨が脆く折れやすい「骨形成不全症」で、生まれつき車椅子での生活を送っています。

ミライロを立ち上げた垣内さん

垣内さんは、生まれてからずっと、歩けないことを、車いすで生活している自分を否定してきたといいます。では、何が彼の価値観を変えたのでしょうか。それは、大学1年生の頃、垣内さんがホームページ制作の営業をしていたときに上司から言われた一言にありました。

当時は飛び込み営業をすることはできず、営業に行く回数は多くはありませんでしたが、営業成績は他の社員より高い水準だったそうです。右も左も分からない、まだ19歳の垣内さんがなぜ結果を残せたのでしょうか。

それは、車いすであるが故に、お客さんに覚えてもらえたからだそうです。「また車いすのあいつがきた」「また垣内が来た」と次第に多くのクライアントから覚えてもらい、ひいては仕事をもらってきたといいます。

当時の上司は垣内さんに言いました。「もう歩けないことを下向きに考えるな。お客さんに覚えてもらえることは、営業マンにとってこの上ない価値であり、強みだ。胸を張れ」と。

この言葉をきっかけに、垣内さんは起業という夢に向かって、一歩踏み出しました。そして、今、この言葉は、「バリアバリュー」という企業理念にもなっています。

ミス・ユニバースの自信の持ち方

最後に紹介するのは、板井麻衣子さん。彼女は25歳のときに大分市役所に務めていましたが、2010ミス・ユニバース・ジャパンに選出されました。モデル経験もなかった彼女はいかにして、自信を持てたのでしょうか。

自信の持ち方について話してくれた板井さん、2013年4月

ミスユニバースでは、80カ国ほどから代表が揃います。彼女は自信を持つために、他国の代表を観察したそうです。代表に選ばれた女性たちは、バックグラウンドが皆異なり、話す言葉や育った環境も違います。色々な美しさがあるので、「べき論」では言えませんが、世界中から集まった代表たちに共通していたのは、自分自身を掘り下げて、これまでを見つめて、そこから、誇りを持って自分が信じている美しさを表現していることだったそうです。

彼女は、「その人の後ろにある背景が美しさのもとになっている気がしました」と強調しました。外見的な美しさは変化していくものですが、その人の背景も見える美しさは永遠に輝きます。

モデル経験もなかった彼女は、これまでの環境や背景を信頼して認めること。そして、そこから次のステージを目指すこと。なにより、「自分を信じる」ということが自信につながっていくのだと今は感じていますと答えてくれました。

自分の背景をしっかりと認識するために、自然の中に行って気分をリフレッシュする機会を定期的に取っているそうです。

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