障がい者の就労支援などのソーシャルビジネスを展開するゼネラルパートナーズ(東京・中央)はこのほど、発達障がいがある当事者へ「職場での障がいのカミングアウト」に関する調査を実施した。その結果、67%が「カミングアウトできていない」と答えた。職場で障がいを理解してもらうことの難しさや、差別・偏見への恐れなどから、障がいを隠している人が多いことが分かった。(オルタナS編集長=池田 真隆)

発達障がいがあることをカミングアウトしていない人は約7割

調査を行ったのは、同社の調査・研究機関「障がい者総合研究所」。20代から50代までの発達障がいがある当事者92人に発達障がいと診断された時期や職場でのカミングアウトの有無などについて聞いた。

アンケートの結果、発達障がいと診断された時期は約8割が社会人になってから。「発達障がいがあることをオープンにして働きたいか」という質問には、約9割が「そう思う 」と回答した。

職場でオープンにして働きたいと答えた人が大半を占めた

しかし、実際に職場でカミングアウトできている人は33%に過ぎず、約7割が打ち明けられずにいる。理由として多かったのは、「伝えても理解してくれないと思うから」(53%)、「仕事を続けられなくなると思うから」(44%)、「仕事を任せてもらえなくなりそうだから」(36%)。

発達障がいは見た目で分かりにくいことや、人によって特性もさまざまであるため、「発達障がい」と伝えただけでは理解してもらいにくい。中には伝えても冗談と受け取られたり、障がいを言い訳にするなと怒られるケースもあるようだ。また、発達障がいがあると伝えた結果、職場で差別や偏見にあうのではという恐れから、カミングアウトをためらっている人も多い。

この結果について、障がい者総合研究所所長の中山伸大氏はこう分析する。「発達障がいについて職場に伝えることで、悪影響が生じることを懸念している人が多かった。発達障がいの認知は広がりつつあるが、まだまだ当事者が『理解してもらえる』という期待を持てない現状がある」。

障がいへの理解や支援の促進などを目的とした「発達障害者支援法」が2016年5月に改正され、発達障がい者を支援する制度は着実に整えられてきたが、根深く残る意識啓発の課題が明らかになった。

■ゼネラルパートナーズ社が行った発達障がいのカミングアウトに関する調査(職場編)の結果はこちら

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