大学生が平和をテーマにブランドデザインを競い合うコンテストがこのほど、東京大学駒場キャンパスで開かれた。全国から約120チームが参加し、グランプリには小学校低学年向けに仲直りを促す企画を提案したチームが輝いた。(オルタナS副編集長=池田 真隆)

決勝プレゼンの会場となった東京大学駒場キャンパスには多くの学生が集まった

■リボン思考で平和をブランドデザイン

このコンテストの名称は、「BranCo!(ブランコ)」。主催しているのは、博報堂ブランドデザインと東京大学教養学部教養教育高度化機構。同コンテストでは、博報堂が考案した「リボン思考」をもとに、学生たちが企画を考える。

リボン思考とは、インプット(情報収集・調査・分析)、コンセプト(戦略・基本方針・ビジョン)、アウトプット(創造・表現・具体化)の3ステップからなる。エントリーした学生は、事前に博報堂の社員からこの思考法を学んだ。

エントリーした120チームは2月から予選に参加し、それぞれが描く平和を提案した。博報堂社員による審査を経て、決勝に進んだのは5チーム。

ファーストプライズ(1位)に選ばれたチーム「atoi」は、千葉大学の男女4人からなる。プレゼンテーションの質の高さ、アニメなどを活用した調査のユニークさ、アイデアの実現性の高さが評価された。

atoiが提案したのは、小学校低学年の児童に仲直りを促すブランド「ナカナオリング」。先生がケンカをした双方から話を聞いた後、紙で作った「ナカナオリング」を腕に付けて仲直りする時間を指す針を書き込むことで、仲直りのプロセスを可視化し「質の良いケンカ」を実現するもの。

セカンドプライズ(2位)には慶応義塾大学と多摩美術大学の男子4人チームの「お湯」が選ばれた。「お湯」は、「マドトモ」というブランドを提案した。小学校の窓に、複数の外国の学校とテレビ電話でつながったディスプレイを設置するというアイデアで、幼いころから異文化に接することで差別や偏見をなくすことを目指した。

審査員からは、平和という大きなテーマにまっすぐ向き合ったこと、テック技術との掛け合わせの工夫、新しい世代から変えていこうという力強いメッセージが評価された。

関西学院大学の男子6人からなる「思考の杜」。彼らが提案したのは、「KAJINO」というブランド。「KAJINO」は、「ルールのある争いは平和を生む」というコンセプトを持ち、夫婦の家事分担に関するゲームブランドで、家庭内の「平和」を実現するアイデア。

東京大学と東京芸術大学、武蔵野美術大学の男女混合5人チームの「カタスミンゴ」は、「PINBOL」というブランドを提案した。「日常生活の中に平和のモニュメントを」というコンセプトに基づき、「平和」を思い出すことにつながりそうな様々なモノに、時計の針を取りつけてモニュメント化するアイデア。

明治大学、法政大学、多摩美術大学、立教大学の男女混合4人チームの「もつよせ鍋」は、「iブレラ」という傘ブランドを提案した。平和のカギを、人間関係の中でのささいな悩みを解決すると捉えた。この傘は、なかなか会えない祖父母と孫が同じタイミングで傘を差した時に会話ができる仕組みになっている。

博報堂ブランドデザインの宮澤正憲代表は、「どのチームも非常にレベルが高かった。勝敗を分けたのは、費やした時間と情熱だと思う」と話した。

■堀潤さん「大きな主語ではなく、小さな主語で語ろう」

堀さんは小さな主語を持つことの重要性を伝えた

当日はゲストによる平和をテーマにした講演も行われた。ジャーナリストの堀潤さんは、「OpinionよりFactが大切」、「大きな主語ではなく、小さな主語で語ろう」、「消費者だけでなく、自分でアクションを起こす生産者になろう」と話した。

その他、朝日新聞GLOBE編集長・国末憲人さんは「戦場で平和を考える」、READYFOR代表の米良はるかさんは「クラウドファンディングで幸福を実現する方法」、AMF代表の椎木里佳さんは「JCJKが平和をめぐって本気でプレゼン?!~Peacetagram~」というテーマで登壇し、大学生へ伝えた。

・BranCo!の公式サイトはこちら

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