2014年にSNSでブームになった「アイス・バケツ・チャレンジ」。これは、難病「ALS(エー・エル・エス)」の支援のためのムーブメントだったことをご存知でしょうか。(JAMMIN=山本 めぐみ)

ALSとは、Amyotrophic Lateral Sclerosisの略称で、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)と呼ばれる病気です。発症すると、身体中の筋肉が萎縮し、運動障害やコミュニケーション障害を引き起こし、発症後2〜5年で自発呼吸さえ困難になり、人工呼吸器を装着しない場合、死に至ります。

現在まで、その原因も、有効な治療法も発見されていません。31歳の誕生日を目前に、ALSと宣告された一人の男性。ALSの根絶を目指して、彼が立ち上げた団体「END ALS」を紹介します。

◼︎感覚や思考能力はそのまま、筋力だけが衰えるALS

END ALSを立ち上げた藤田正裕さん

ALSは、体を動かす運動ニューロン(神経系)が変性し、徐々に壊れてしまう疾患。運動ニューロンの変性によって筋肉への命令が伝わらなくなり、結果、筋力の低下を引き起こします。運動ニューロンのみが変性するため、意識や五感は正常のままで、知能の働きも低下することはありません。平均寿命は2~5年で、世界では450,000人、日本には10,000人超の患者がいると言われています。

一般社団法人END ALSを創立した藤田正裕(ふじた・まさひろ、通称ヒロ)さん(37)は、2010年の秋、体の異変を感じ病院を受診したところ、ALSと診断されました。

「一人でも多くの人にALSのことを知ってもらうこと。そうすることで、寄付が集まり、寄付が集まれば、ALSの研究が進み、治療法が見つかる。この世からALSをなくすために活動している」

そう話すのはヒロさんが立ち上げた一般社団法人END ALS(東京)のメンバーであり、ヒロさんが勤めている外資系広告会社、マッキャンエリクソンの同僚の大木美代子さん。

藤田正裕さんと、END ALSのメンバーである大木美代子さん(右)と尾崎千春さん

発症から7年目。ALSの症状が進行する中で、周囲とのコミュニケーション手段が困難になりつつあるヒロさんをサポートしながら、活動を続けています。

■ALS認知拡大のためのイベントを数多く実施

ムードメーカーだったヒロさん。彼を助けたいとEND ALSの活動には多くの友人のサポートが集まりました。気管切開のために声を失った彼の変わりに彼の声を代弁、思いを発信するプロジェクト「ONE VOICE ONE HOPE」には、アーティストのCharさんやJESSEさんが参加。

ALS認知拡大のためのCM制作プロジェクト「ONE TRY ONE LIFE─ROAD TO END ALS」には、友人であり歌手のAIさんが出演しました。

CM制作プロジェクト「ONE TRY ONE LIFE─ROAD TO END ALS」にて、 歌手のAIさんと

そのほかにも、路上に寝転んでALSを疑似体験するイベント「GORON for ALS」や、スポーツブランド・NIKEの協力でRUNイベントを開催し、ランナーが走った距離に応じて1kmにつき10円が寄付される「END ALS RUN」、体が動かないことを逆手にヒロさんがモデルに挑戦、応募者が彼をデッサンする「I’m Still」など、一人でも多くの人にALSを知ってもらうために数多くのイベントを実施してきました。

東京・外苑前にて実施された「GORON for ALS」の様子

︎■I’m still alive. ALS根絶まで闘う決意

「ALSと診断されたとき、ヒロは『自分は死ぬんだ』と思ったそうです。活動が続いていくなかで、ALSの撲滅よりも自分が先に果ててしまうことを予見して、『I’m still alive』、“命はなくなっても、僕はみんなの中で生きているよ”というメッセージを発信していました」。そう話すのは、END ALSのメンバー・尾崎千春さん。

まだ表情筋が動いた頃、変顔でおどけてみせるヒロさん

「ヒロにとって、ALSと闘うこととは、140年も前からあるこの病気をこの世から根絶すること。自分が助かる、助からないというよりも、生まれてくる子どもたちや、この先ALSを発症する人を『治療法の発見』というかたちで救いたいという思いが『I’m still alive』には込められています」。メッセージに込められた思いをそう語ってくれました。

■ALS認知拡大のためのチャリティーキャンペーン

END ALSは、チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)と、6月21日の「世界ALSデー」を含む今週1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。

集まったチャリティーは、ALSのことをより多くの人に知ってもらうためのステッカー制作費用として使われます。

「JAMMIN×一般社団法人END ALS」1週間限定のチャリティーデザイン

JAMMINがデザインしたTシャツは、『END ALS』、『I’m still alive』という団体のメッセージを表現したシンプルなデザイン。

Tシャツ1枚につき700円がEND ALSへチャリティーされます。販売期間は6月19〜6月25日の1週間、JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、詳しいインタビューを掲載中。あわせてチェックしてみてください。

「END ALS」。原因不明・治療法未確立の難病に打ち勝つ日まで、闘い続ける〜一般社団法人END ALS

【JAMMIN】
ホームページはこちら
facebookはこちら
twitterはこちら
Instagramはこちら

[showwhatsnew]

お知らせ オルタナSでは、社会問題の解決につながる活動を行う若者を応援しています。自薦・他薦は問いませんので、おすすめの若者がいましたらご連絡お待ちしております。記事化(オルタナS/ヤフーニュースほか)に加えて、ご相談の上、可能な範囲で活動の支援をさせていただきます。お問い合わせはこちらから

キーワードから記事を探すときはこちら