障害者専門の就職・転職支援を行うゼネラルパートナーズ(東京・中央)はこのほど、障害者雇用率の引き上げに関する調査を実施した。2018年4月時点で、障害者の法定雇用率が2.2%に引き上げられる見込みだ。調査の結果、企業規模によって障害者雇用への対策について差が見られ、二極化が進んでいることが分かった。中小企業でも法定雇用率を達成するカギは何か。(オルタナS編集長=池田 真隆)

先月の厚生労働省 労働政策審議会において、障害者の法定雇用率の引き上げが承認され、2018年4月時点で2.2%、2020年度末までに2.3%へ引き上がる見込みだ。民間企業では、現在従業員数の2.0%以上の障害者の雇用が義務付けられているが、未だ雇用率を達成している企業は半数に満たない。

障害者雇用率の算定式

■企業規模で二極化進む

その結果、「2018年4月時点で法定雇用率が2.2%になることを予想していたか?」という問いには、1000人未満の企業の72%が「予想していた」と回答した。しかし、予想していたものの、44%が「達成できるとは思わない」と答え、達成の見込みが立っていないことが分かった。

一方、1000人以上の企業では、53%が「予想よりも低かった」と回答し、83%が雇用率の達成を「できると思う」と答え企業規模によって、二極化が進んでいることが分かった。

■7割以上が「雇用率目標を見直し」

今回の雇用率引き上げを受けて、1000人未満の企業の72%が「自社の障害者雇用率の目標を見直す必要がある」とした。対照的に、1000人以上の企業で同じ回答をしたのは48%だった。

■専門家、「支援機関を活用して」

調査結果を踏まえ、中山伸大・障がい者総合研究所所長は、「今回の法定雇用率引き上げの発表を受けて、1000人未満の企業では、今後の取り組みを考える必要に迫られていることが明らかになりました」と話す。

一方、1000人未満の企業では、障害者雇用の専任担当者を社内に設置するなど、1000人以上の企業と同様の取り組みを実施することは困難だ。

そこで、中山所長は、「社内で十分な人的リソースを活用できない1000人未満の企業こそ、外部機関の活用が有効だと考えます。支援機関の保有するアセスメント情報を参考にして採用することでミスマッチのリスクを減らすこともでき、採用後も職場定着に向けた中立的な支援を受けることができます」と述べた。

中山伸大・障がい者総合研究所所長

ゼネラルパートナーズは、障害者専門の人材紹介会社として、2003年に創業。その後、「就職・転職サイト」「障害別の教育・研修事業」「就労困難な障害者による農業生産事業」など、幅広い事業を展開している。2016年10月には障害者アスリートなど、支援の対象もさらに広げており、これまで就職や転職を実現した障害者の数は5000人以上に及ぶ。

「誰もが自分らしくワクワクする人生」というビジョンのもと、今後は障害者に限らず、不登校、ひきこもり、LGBTなど様々な不自由を抱える方々のサポートへ、ビジネスの領域を広げていく。

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