日本の3大メガバンクを含む世界の主要37銀行を対象に格付けした報告書「化石燃料ファイナンス成績表2017 (Fossil Fuel Finance Report Card 2017)」がこのほど発表された。同報告書では、化石燃料への融資状況など、各銀行のESG(環境・社会・ガバナンス)方針を調査し、その結果をもとに評価した。日本のメガバンク3行は世界最低ランクに位置付けられた。(350.org Japan=棚尾 真理絵)

みずほに対して気候変動や人権に配慮した資金提供を実施するための明確な取り組みを求めるために、NGO団体が6月23日(金)にみずほフィナンシャルグループの株主総会前で行った抗議アクション「無責任銀行ジャパン大賞2017」

調査の結果として、世界の銀行の化石燃料への融資は全体的に減少しつつあるということが判明した。しかし、それに伴う化石燃料への資金提供に関する明確なESG方針がまだまだ不十分だという問題が指摘された。

気になる日本のメガバンク3行(みずほフィナンシャルグループ、三菱UJFフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ)のスコアはなんと、すべてFグレード(成績の中で最も低いスコア)であった。調査対象となった銀行グループがすべてFグレードと評価されたのは日本と中国だけだ。

近年では温暖化の進行やパリ協定の発足などの影響で、銀行も気候変動の悪化から社会や市民を守る「社会的責任」があるという考え方が主流化しつつある。そうした背景から、CO2排出量が最も多い石炭への投融資を段階的に中止すると発表する銀行が世界では徐々に増えている。

しかし、日本の銀行グループはこの動きに反して、最もCO2排出量が多い、環境破壊的な事業分野に巨額な資金提供を行っている。

さらに、日本の三大銀行のうち、みずほは2015~2016年の間、化石燃料への融資額を増やした唯一の銀行であることが判明した。これは気温上昇を2度未満に抑えるという世界的な目標を完全に無視した行動である。

350.org Japanを含む4つの環境NGOが共同で作成した特別報告書「みずほFG2016年ESG評価レポート」では、みずほは日本の化石燃料および原子力関連企業へのトップ資金提供者であり、また東南アジアの熱帯林伐採を推進する企業に多額の資金を提供していることが分かった。

特別報告書「みずほFG2016年ESG評価レポート」

さらに、世界の銀行が表明しているESG方針をみずほグループのものと比べた結果、全ての分野においてみずほの対応が不足していることが明らかになった。

気候変動による影響が年々深刻化する中、世界の預金者や投資家は、銀行の融資先や投資先事業による環境や社会への影響をより厳しく監視・評価するようになっている。このような、ずさんな銀行業務を続けていると日本の銀行は世界的に信頼をなくすことになる。これらによって引き起こされる問題は、銀行にお金を預けている私たちにも降りかかってくる。

私たち市民にも銀行にお金を預けている身として、銀行に対して気候変動や人権に配慮した資金提供を求める権利がある。海外では、そのような消費者の声があってこそ、銀行が社会や環境に配慮した方針を発表する事例が数々と出てきている。

350.org Japanは社会や環境を配慮した銀行を選びたいという消費者の声を銀行に届ける、My Bank My Future キャンペーンを展開している。まずは、このような動きに参加することで自分の銀行の投資・融資状況を知ることから始めよう!

化石燃料ファイナンス成績表2017

みずほFG2016年ESG評価レポート

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