日本人の2人に1人は「がん」になると言われています。「がん」による有名人の訃報も相次ぎ、他人事ではないと感じている人も少なくないと思います。近年は医療技術が進み、早期の発見も可能になっていますが、もし、自分や家族が「がん」と告知された時、世の中に溢れる様々な情報に惑わされることなく、納得できる方法でがんと向き合える人は、どれだけいるでしょうか。「がん」になっても選択肢を持って、自分らしく生きるために――。科学的根拠に基づいた情報を発信し、がん患者をサポートする活動を続けるNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)
■「科学的根拠に基づいた情報」発信
「実は世間には、研究段階や効果が検証されていない情報が数多く出回っている。がん患者やその家族が、容易に治療の情報を得られるようになってきた一方で、本当に正しい情報なのか判断できないという問題が出てきている」。そう話すのは、認定NPO法人キャンサーネットジャパン(東京・文京)事務局長の木原康太(きはら・こうた)さん(31)。
キャンサーネットジャパン(以下CNJ)では、エビデンス(証拠・根拠)に基づき、データとして効果が客観的に証明されているような「科学的根拠のある」、がんに関する情報を発信し続けています。
「患者や家族が『正しい情報』を知ることはもちろん、『正しい情報の見つけ方』を身につけることで、自分たちが主体となって治療を選択することができる」と木原さんは言います。
■ネットやセミナー、冊子も
「大切なことは、がんについて『知る』こと。『知る』ことで、自分にあった治療法や、がんとの付き合い方など、道筋を立てることができる」。木原さんはそう話します。
CNJでは、専門医による詳しい治療の解説動画や、がんに関する冊子を作成し、必要な情報を、必要な時に得られるようにウェブサイトやSNSで発信しています。
がんに関する知識を広めるためにセミナーを開いており、その数は1年間に40〜50回に及びます。加えて、がん経験者向けのサロンや講座などを通して、がん患者やその家族が「自分は一人じゃない」と感じられる場を作ってきました。
■「真っ暗だった世界が、色鮮やかに」
10年前に乳がん、2年前に卵巣がんになった日暮弓美(ひぐれ・ゆみ)さん(51)。2012年に開催された「赤坂チャリティマラソン」でがん体験者としてCNJが募集していたランナーに応募した。そのマラソン以来、CNJが開催するイベントには積極的に参加してきました。
「がんになった当初は、がんであることを周囲に言いづらく、人前でコソコソしてしまう自分がいた。がん患者としてどう生きていけば良いか、がんではない人とどう交わっていけば良いのか、模索していた」と当時を振り返ります。
「治療中でも案外普通の生活が送れるということを自分ががんになるまで知らなかった」という日暮さん。CNJのイベントに参加するうちに、「新たな選択肢」や「可能性」に気付き、真っ暗だった世界が、鮮やかに色づいていくのを感じたと言います。
「CNJを知ってからは、CNJが開催するイベントに参加することが何よりの楽しみになった。楽しいことを見つけて笑ったり、ちょっとのことで凹んだり、そんなことを繰り返しながら日々を過ごすのは、がんであってもなくても同じ」。自身の体験をもとに、そう話してくれました。
■今夏のフォーラム開催費用を集めるチャリティーキャンペーン
チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、CNJと組んで1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。
集まったチャリティーは、2017年8月19・20日に、東京・日本橋で開催される「ジャパンキャンサーフォーラム」開催費用として使われます。
「ジャパンキャンサーフォーラム」は、2014年から開催されている、がんに関わるすべての人のためのがん医療フォーラム。参加費無料・予約不要(一部プログラムを除く)で、誰でも参加できます。
JAMMINがデザインしたTシャツには、かたちの異なるドアが描かれています。「がんになっても、一人ひとりにそれぞれの選択肢がある。そのために、正しい情報を受け取ってほしい」というCNJの想いを表現しました。
Tシャツ1枚につき700円がCNJへチャリティーされます。販売期間は7月10日~7月16日の1週間、JAMMINホームページ(https://jammin.co.jp)から購入できます。
JAMMINの特集ページでは、乳がん体験者コーディネーター(BEC)養成講座の開講や、CNJがんナビゲーター(CCN)認定試験も行うCNJの活動詳細や活動への想いを詳しく掲載中。Tシャツデザインとあわせて、チェックしてみてください。
がんになっても「選択肢」を持ち、自分らしく生きられる社会に〜キャンサーネットジャパン
山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。
【JAMMIN】
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