2015年の調査によると、日本国民の貧困率は15.6%(厚労省『2015年国民生活基礎調査』調べ)。国民の6〜7人に一人が貧困を抱えていることになります。貧困に陥った時、そして周囲に誰も頼れる人がいなかった時、問題になるのが「住まい」。不安定な就労形態や病気など、様々な事情で貧困を抱え、ホームレス状態となった人たちが新しい生活を始める際、彼らの「連帯保証人」となって自立を支援する活動を行っているNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)
■3000世帯の連帯保証人に
自立生活サポートセンター・もやい(東京・新宿、以下もやい)は、広義で「ホームレス」状態の人たちがアパートなど賃貸住宅に入る際の連帯保証人になり、彼らの自立を支援する活動をしているNPO法人です。
「『ホームレス』と聞くと路上生活者を思い浮かべがちだが、それだけではない。住居を持たずネットカフェで寝泊まりする人や、住み込みで働いていた職を失い住居も同時に失ってしまった人、家庭内暴力から逃れるために家を出て居場所を失ってしまった人も、いわば『ホームレス』状態にある」
そう語るのは、もやい理事長の大西連(おおにし・れん)さん(30)。孤独でどこにも頼れない人や、家族や親族がいても関係が悪く頼れない人たちのために、もやいが住宅を借りる際の連帯保証人と緊急連絡先となって、住まいを間接的に提供する活動を続けてきました。
もやいが連帯保証人を引き受けることによって、これまでに3000世帯の人たちがアパートに入居し、生活の基盤を持ち直してきました。
「住まいがあることで、安定して仕事をし、地域で暮らし、病院に行ける人たちがいる。住まいがあることで、自立のステップを踏み、もっと大きなハードルを乗り越えられる人たちがいる」と大西さんは話します。
■生活困窮者の背景に潜む「孤立」
貧困問題を考える時、背景には「孤立の問題」が潜んでいると大西さんは指摘します。
「何らかの事情があって仕事を辞めて家を出た時に、頼れる人間関係をもたない人たちがいるのは事実。当人が間違った選択をしてしまったということもあるかもしれないが、同じリスクを負った時に、うまくいく人とそうではない人がいる。また、地方出身者や低学歴の人が貧困に陥りやすいという傾向もある。貧困は自己責任だけではなく、社会的責任もあって、生活に困窮しやすい弱い立場にある人たちを、社会がもっと寛容にサポートしていく必要がある」と主張します。
■「つながりの貧困」支える活動も
もやいでは、連帯保証人となって間接的に住まいを提供する「入居支援事業」のほかに「生活相談支援事業」や「交流事業」にも力を入れています。
アパート入居後の孤立化を防ぎ、人間関係の回復を図るために、誰でも気軽に立ち寄れる交流サロン「サロン・ド・カフェ こもれび」や、女性の居場所作りの活動「グリーンネックレス」、若者の活動場所「ランタンペアラ こもれび」を定期開催し、ワークショップ開催やイベントを通じ、参加者たちの交流の場を設けています。
「日本の社会全体に『生きづらさ』が蔓延する中で、どうしても社会や制度の枠からこぼれてしまう人たちがいる。こういった状況にある人たちをサポートするのが私たちの役目」と大西さんは話します。
■住まいを失った相談者に、一時的な宿と食事を提供する活動をサポートできるチャリティーキャンペーン
チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、もやいと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。集まったチャリティーは、住まいを失い、もやいに相談に訪れた生活困窮者に、一時的な宿と食事を提供するための資金になります。
JAMMINがデザインしたTシャツに描かれているのは、団体名の由来である「もやい結び」でつながれた小舟。「つながってもいられるけど、時には離れることもできる」、自立した自由な人間のつながりを表現しました。
Tシャツ1枚につき700円が、もやいへチャリティーされます。販売期間は10月2日〜10月8日までの1週間。JAMMINホームページから購入できます。
JAMMINの特集ページでは、貧困の背景に潜む孤立の問題や、もやいの活動について、大西さんの詳しいインタビューを掲載しています。1週間限定のコラボチャリティーアイテムとあわせて、こちらもチェックしてみてくださいね。
生活困窮者が新しい生活を始める際の「連帯保証人」となり、自立のステップを支援する〜認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい
山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。
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