弘法大使空海ゆかりの霊場を巡拝する「四国巡礼」の遍路道をボランティアで整備する「平等講」と呼ばれる住民グループがある。立ち上げたのは、22番目の札所「白水山医王院平等寺」。昨年、50年ぶりに復活し、遍路文化を守り抜く。(武蔵大学松本ゼミ支局=長谷川 誉歩・社会学部メディア社会学科3年)

取材した平等寺副住職の谷口真梁氏

四国巡礼(通称「お遍路」)は空海が修行を行った寺を巡礼することで、徳島県の霊山寺から始まり、高知、愛媛を通り、香川県の大窪寺までの88カ所に渡る。その距離は四国一周の1400キロに及ぶ。山岳に位置する寺もあれば、のどかな田園に囲まれた寺もある。

道のりは険しいが、お遍路参りする人には、地域住民がお茶や果物を無償で提供する。これは遍路文化の風習の一つで、「お接待」と呼ばれている。「自分の代わりに四国巡礼をしてもらっている」という気持ちから「お遍路さん」を支える。

遍路道は、四国巡礼のためにつくられたものではなく、地域住民が普段から使っている道だ。そのため、住民の善意でお遍路さんが歩きやすいように整備されてきた。

住民を巻き込んだこの取り組みは2015年に日本遺産として認定された。現在、世界遺産への登録を目指し、「四国八十八箇所霊場と遍路道」世界遺産登録推進協議会なる組織もある。

平等講を立ち上げた、白水山医王院平等寺

一方で、課題もある。それは、四国全体で進む過疎化だ。2015年に国土交通・総務両省が実施した「過疎地域集落現況調査」では、四国全体で限界集落(人口の50%以上が65歳以上)は33.8%に及び、集落に占める割合は全国の地区別で最も高かった。

たとえ世界遺産に登録されても、遍路道が整備できなくなり、登録を抹消されてしまうことも危惧されている。

そこで、立ち上げられたのが「平等講」だ。これは、巡礼をしながら遍路道を整備するボランティア組織。22番目の札所「白水山医王院平等寺」(徳島県阿南市)の先々代の住職が呼びかけて、1924年に発足した。

住民の善意で支えていた四国巡礼の文化を途絶えさせないため昨年、50年ぶりに復活させた。四国巡礼の世界遺産登録を目指し、年に数回、遍路道の清掃などを行う。

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