私たち日本人は、義務教育を受けた後、進学したり就職したりと自分たちの進路を選択し生きてきます。しかし、発展途上国の貧しい地域の中には、小学校にすら通うことができず、読み書きもできないまま、描いた夢を叶えられずに生きていく子どもたちがいます。ネパールとラオスを中心に、教育を通じて現地の人々の生活を支援するNPOを紹介します。(JAMMIN=山本 めぐみ)

■途上国で「読み書き」が意味すること

子どもにとって、教育こそ「明日への希望」

発展途上国の地域の中には、学校が足りなかったり、学校はあるけれどもボロボロで勉強することもままならなかったりという状況があります。また、現地の子どもたちの中には、学校に通いたくても家計を助けるための労働力とみなされて通えなかったり、途中で辞めてしまったりする子も多いといいます。

「子どもたちには皆、夢や希望を持ち、人生を自由に選択する権利がある。そのためには、教育が必要」

そう話すのは、NPO法人国際学校建設支援協会(ISSC)代表理事の石原ゆり奈(いしはら・ゆりな)さん。「読み書き」には、彼らの未来がかかっています。

国際学校建設支援協会代表理事の石原さん。「学校に通うことができ、ご飯が食べられる日本。この国に生まれたというラッキーカードを使わなければ」と話す

石原さんはまた、次のようにも指摘します。

「活動を行っているネパールでは、法律で禁止されているにもかかわらず現在も人身売買が行われている。読み書きができないために人身売買の契約書をよくわからないままサインしてしまい、売られてしまうケースも。女性の場合は、そのまま娼婦として働かされてしまうこともある。教育を受けて読み書きができ、きちんとした情報さえあれば、こういった災難を未然に防ぐことができる」

「読み書き」は、弱い立場にある子どもたちが自分の身を守るための手段でもあるのです。

■「学ぶ=人間の本質」

ラオスで。新しい校舎を前に、子どもたちの顔からも笑顔があふれる

ISSCは、2004年に任意団体として活動をスタートさせ、これまでラオスとネパールに32の校舎を建設してきました。また、年間400人の子どもたちを奨学金で支援し「学ぶことの大切さ」を伝えながら、関わる一人ひとりの生活を見守っています。

また、近年では途上国の女性の教育支援にも力を入れているといいます。専門の講師を呼び、ミシンや刺繍、パンやお菓子を焼くベイカーなどの職業訓練を行い、女性が自立した生活をできるようサポートしています。

ラオスで、カム族の女性たちにミシントレーニングを行う様子

「”学ぶこと”は、人間の本質。人間から向上心を奪い去ることはできない。新しいことを知って、ワクワクしたりおもしろいと感じることは、どうやっても人間からは切り離せない。新しい知識を得、向上心が刺激され、夢を持って行動している人は強い。ポジティブなモチベーションが動く時、必ず物事は動くし、本人も成長できる。そこに行きつくためには、やはり教育が必要だし、だからこそ、支援が必要」。教育への思いについて、石原さんはそう語ります。

■憐れみでなく、解決に向けての前向きな姿勢を

支援のあり方について、「発展途上国の人が置かれている状況に対して『かわいそう』と哀れむのは違う。私たちだって、いつ何があるかわからない。一人ひとりの状況を知り、受け入れ、そしてどう前向きに解決していくかを考えていくべき」と話す石原さん。自身の活動については、次のように語ります。

「『今、そこにいる人とどう生きるか』が活動のポリシー。大きな団体が支援している分野も、細かくジャンルが分かれていて、どうしても大きな団体の支援の枠からこぼれてしまう地域や人たちがいる」

家では労働力として家計を支える子どもたちにとっては、学校は唯一「子どもらしく」過ごすことができる場所だ

「私たちの団体は小さくフットワークも軽い。より現場に近いところで、一人ひとりの人生と関わり、その変化を見届けたい。自分が関わることで、誰かの人生が少しでも良くなるのであれば、そこには意味がある」

■ラオスの子どもたちに制服を届けるチャリティーキャンペーン

チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」(京都)は、ISSCと1週間限定でキャンペーンを実施し、オリジナルデザインのチャリティーアイテムを販売します。

集まったチャリティーは、着ていく制服がないという理由で学校へ通えないラオスの子どもたちへ制服を届ける「制服プロジェクト」の資金になります。

さらにこのプロジェクトでは、ミシンの職業訓練を受けたラオスの少数民族「カム族」の女性たちにこの制服作りを依頼することで、同時にカム族の女性に仕事を届けるというシステムを採用しています。

「JAMMIN×ISSC」1週間限定のチャリティーデザイン(ベーシックTシャツのカラーは全8色。他にVネックTシャツや7分袖Tシャツ(レディースのみ)・パーカーなどあり)

JAMMINがデザインしたTシャツには、”There is always hope”、「そこにはいつも希望がある」というメッセージが書かれています。教育を受けることで広がる可能性を、気球と広大な景色で表現しました。

Tシャツ1枚につき700円が、ISSCへチャリティーされます。販売期間は、10月16日〜10月22日までの1週間。JAMMINホームページから購入できます。

JAMMINの特集ページでは、ISSCの活動について、また「制服プロジェクト」について、現地の写真と共に石原さんの詳しいインタビューを掲載中!こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。

発展途上国の子どもたちへの教育支援を通じて、関わった人たちが成長できる場を作る〜国際学校建設支援協会(ISSC)

山本 めぐみ(JAMMIN):
京都発チャリティー専門ファッションブランド「JAMMIN」専属ライター。JAMMINは「チャリティーをもっと身近に!」をテーマに、毎週NPO/NGOとコラボしたデザインTシャツを作って販売し、売り上げの一部をコラボ先団体へとチャリティーしています。

【JAMMIN】
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