「働きながら、社会を変える」をモットーに、メンバー全員が本業を持ち、パートタイムで活動している認定NPO法人 Living in Peace。約100人で構成されるメンバーは報酬を得ておらず、全員プロボノ(ボランティア)だ。専従職員がいなくても社会的インパクトを生み出す同団体は、どのように活動を行うのか。「全員プロボノ」を掲げる意義は何か。(聞き手・Readyfor支局=吉田 梨乃)

同団体は「すべての人にチャンスがある社会」を目指し、途上国で貧困層を対象に小口融資を行う金融機関をサポートする「マイクロファイナンスプロジェクト」と日本の児童養護施設を支援する「こどもプロジェクト」の2つの事業を柱として活動を展開。マイクロファイナンスプロジェクトを担当するキョウ イグンさん、こどもプロジェクトを担当する中里 晋三(なかざと しんぞう)さんの二人に話を聞いた。

※Living in Peaceは、クラウドファンディングサービス・Readyforによる国際協力活動応援プログラム「Readyfor VOYAGE」でクラウドファンディングに挑戦中です!児童養護施設の子どもが気軽に立ち寄れ、社会人が気軽に勉強会を開ける、「居場所となるような活動拠点」を作ることを目指し、寄付の呼びかけを行っています。現在、第一目標額(120万円)は無事達成しましたが、最初数ヶ月分の家賃および設備費のため、次なる目標額(250万円)に挑戦中です。寄付の受付は12月15日(金)23時まで!
<詳しくはこちらから>

貸し会議室での毎週末のミーティングの様子

——Living in Peace(以下LIP)の活動に携わることになったきっかけは何ですか?

キョウさん:学生時代から、途上国の貧困問題に関心を持っていました。社会人になってからも、休暇を使って途上国のスタディツアーに参加していたのですが、参加者の一人が、LIPで活動しているメンバーでした。「一般企業で働きながらでも貧困問題に携われるなら私もやってみたい」と思い、応募しました。

中里さん:私はマイクロファイナンスを調べていたときに、たまたまホームページでLIPを知りました。そのなかで、不動産関係の仕事をしながら哲学がすごく好きだったり等、魅力的なメンバーが紹介されていて興味を持ちました。結局、子ども支援をしているプロジェクトに入ったのですが、私が大学院で哲学を研究していることもあって、大学の外に知見を持って発信できる場があるというのも新鮮でした。

——みなさん本業をお持ちの中で、どのように活動されているのでしょうか?

中里さん:「マイクロファイナンスプロジェクト」「こどもプロジェクト」と担当チームを分けているのですが、それぞれ週に1回2時間の対面ミーティングをしています。その他にも、平日の夜にSkypeしたり、チャットなどのオンラインツールも使ったり……頻繁にはミーティングができないぶん、ネットを使って上手くコミュニケーションをとることを意識しています。

キョウさん:現地での調査のためフィリピンやベトナムに渡航したり、海外のカンファレンスに出席したりもしています。もちろん、本業の有給休暇などをうまく使いながら……(笑)。こどもプロジェクトでは、支援先の児童養護施設へ定期的に訪問しています。時間をやりくりするのは大変ではありますが、「LIPのための時間も確保しなければ」という責任感で、逆に本業の生産性が上がりました。会社にも自分の思いを打ち明け、理解をいただいています。

インタビューに答えていただいたキョウさん(左)と、中里さん

——入会時に必要なスキルはあるのですか?

キョウさん:どんな方でもウェルカムで、パソコンだけ持っていれば特にスキルは求められません。しかし、入会のハードルは他のNPOのボランティアよりも高いです。3年間活動にコミットしてもらうことが前提で、ミーティングへ複数回見学いただいた上で、自分がどのように貢献できるか志望動機書を書いていただいています。

中里さん:LIPメンバーは専門的知識よりも「思いの強さ」を大事にしてきました。パソコンスキルも、思いさえあれば身につけられるものだと思うので、絶対条件というわけではありません。実際メンバーの本業も多彩です。金融系、コンサルやIT関係の他にも、弁護士、メーカー、またシニア世代もいます。ただ、みなに共通しているのは「正しいことをしたい」という思いです。だから意見が違っても議論を積み重ね、お互いを認め合っていこうという雰囲気があって、私もそこに魅力を感じています。

——「働きながら、社会を変える」。全員プロボノという新しいスタイルを掲げる意義は何でしょうか?

中里さん:「みんなが社会を変えるチャンスを持っている」ということは、社会問題の解決において重要であると感じています。「フルタイムのNPO職員でないと何も為せない」などということはないはずです。もちろん、専従職員の方がいてこその活動も多いですが、現場に入っていくことが難しい人たちでも問題解決に携わっていくことが必要だと思っています。LIPは、現場と現場にいない人々との仲介的ポジションにいて、社会貢献に対する新しい仕組みを作る役割を担っているのではないかと考えています。

キョウさん:私は本業でもCSRに携わっているのですが、CSRを進めたい企業でもNPOとのコネクションはあまりないのが現状です。私たちは、企業とNPO、双方を知っているからこそ両者を「繋げる」ことができるのが強みです。近年話題になっている「コレクティブインパクト」もそうですが、企業と現場で働く人々をいかに繋いでいくか。副業を認める企業が増えてきていますが、個人的には社会貢献の領域でも、「パラレルキャリア」が広がっていったらいいなと思っています。

——今回のクラウドファンディングは、そんなLIPの活動拠点を作るための資金集めですね。

中里さん:今回作りたいのは、単に書類を保管したり、事務作業をしたりというだけではなく、メンバーや私たちが支援している人たちも気軽に集える「居場所」です。先日LIPは設立10周年を迎えましたが、これまでは特定の事務所を持たずに活動してきました。

しかし事業の拡大やメンバーの増加で、そういったスタイルの継続が難しくなっています。よりサステイナブルな組織として拡大していくためには、組織の拠点がどうしても必要です。

また、例えばこどもプロジェクトで支援している子たちは、一度施設を出てしまうと、家族からの支援を望みにくいなかで、ちょっとしたつまずきでも彼らにとっては大きな意味を持ってしまうことがあります。なので、日ごろから子どもたちが気軽に立ち寄れたり悩みを相談したりできる場所を作りたいと思っています。

キョウさん:これから、難民支援のプロジェクトも立ち上げ予定なのですが、難民の方々のための居場所にもなったらと考えています。

設立から10年。メンバーの数も増えてきました

——クラウドファンディングに挑戦してみて、いかがですか?

キョウさん:開始して1ヶ月ほど経ちますが、「こんなにも応援してくださる人がいるんだ」と知り、メンバーみんなの活動のモチベーションにも繋がりました。人との繋がりの温かさを感じることができ、大変嬉しく思っています。

中里さん:「働きながら、社会を変える」というのは、日本においてはまだ珍しく、試行錯誤している段階ですが、それが面白いところでもあります。支援者のみなさんとも一緒に新しい社会の波を作っているような感覚で、ワクワクしています。最後まで応援よろしくお願いいたします!

寄付の受付は12月15日23時まで!是非、下記の画像をクリックして、挑戦をご覧ください。


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