合同会社西友(東京・北)の100%子会社である若菜(埼玉県川越市)は2015年4月からNPO法人と組んでヘルシーな寄付付き惣菜を販売している。「寄付は長期的な投資」と位置づけ、2年間で2500万円以上を寄付した。 (オルタナS編集長=池田 真隆)

西友のヘルシーな寄付付き商品と写るTFTのスタッフ ©TABLE FOR TWO

同社は、NPO法人TABLEFOR TWO(東京・港、以下TFT)と組み、健康に配慮した商品の売り上げの一部を同団体へ寄付している。寄付は同団体が東アフリカとフィリピンで行う農業支援活動に充てられる。

これは「カロリーオフセット」という先進国で肥満に悩む大人と開発途上国で飢餓に苦しむ子どものカロリーをオフセット(埋め合わせ)することを目指したTFTの取り組みを支援するもの。2年間の累計寄付額は2500万円を超え、支援先に約80の菜園を作ってきた。フィリピンでは収穫量が増えて、農家の収入が向上し、ルワンダでは収穫した野菜を販売し、学用品の購入費にもしているという。

この取り組みについてTFTの張一華・事業開発マネージャーは、「寄付金額を公開している企業の中では継続的に取り組み、寄付しながら売り上げも増やしている。傑出した事例の1社」と評価した。

2015年4月から寄付付き惣菜を全国の西友・サニー353店舗で販売した。寄付付き商品には、低カロリーで豊富な栄養素を含んだ惣菜を選んだ。店頭にPOPを置き、対象商品にはカロリーオフセットのロゴシールを貼った。対象商品は月に一度見直し、入れ替えを行う。
 
その結果、対象商品の売り上げがプログラム開始前と開始直後1週間比で約10%増加した。売り上げを伸ばした要因について、西友の社会貢献活動を統括する企業コミュニケーション部バイス・プレジデントの和間久美恵氏は、「食べ物にヘルシーさを求める声が多くあり、そのニーズとマッチした」と話す。

寄付付き商品を展開するようになったことで、「社員のモチベーションが上がった」と和間氏は話す。若菜の社員の変化を感じたことで、同年5月からは店舗のレジ前に「寄付カード」を設置した。
 
利用者は会計時にそのカードを出し、寄付したい金額を支払えば寄付になる。年間で集まった寄付金額と同額を西友がマッチングしてNPO団体へ届ける仕組みだ。同年9月から、店頭などにある西友オリジナルの自動販売機で、寄付付きの機能性飲料の販売を開始。アジアなどの子どもへ給食費として寄付する。
 
寄付付き惣菜に、これらの取り組みから集まった寄付額を足すと、2年間で4千万円以上に及ぶ。年に数回、TFT職員が若菜と西友を訪れ、支援先の状況を報告する。有志社員数百人が集まる。

小売世界最大手のウォルマート・グループである西友にとっては、国内での地域貢献活動のみならず、グローバルな支援活動が求められている。TFTと組むことで、それを実現した。
 
和間氏は、「地球環境を守り、より良い社会をつくることで、ビジネスが持続可能になる。この寄付の取り組みは長期的な投資だと認識している」と強調した。


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