私が主宰するEDAYA(エダヤ) ではフィリピン・北ルソンに暮らす山岳先住民族の無形文化に着想を得、彼らの音楽文化や暮らしにまつわるモチーフを取り入れたハンドメイドアクセサリー、またEDAYAオリジナルのデザインを施した民族楽器のラインを展開しています。
素材としては主に、自社管理する山から採集した竹やラタンを使っており、現地に自分たちで手作りした工房で、職人が一つひとつ丁寧に作りあげています。
さて、私たちの最大の特徴は、無形文化を次世代へというミッションのもと、ものづくりと無形文化継承、この2つを同時に行うことのできる持続可能なビジネスモデルを考えていることです。
例えば製品の制作過程そのものに、村に古くから伝わる竹を扱う技術を取り入れたり、デザインに無形文化のモチーフを取り込むことによって、職人自らが無形文化について自然と学び意識することができる仕組みを整えています。
ただ、私たちは生産側のこういった取り組みを自分たちでエシカルということはあまりありません。それは、私たちがそもそもエシカルを目指してブランドを作ったわけではないということと、デメリットとして、エシカルという言葉で括られてしまうことによる弊害もあると考えています。
ただ一人ひとりのよりより選択が世界を変える、ということへのわかりやすい道筋を示すために、あるいはそのための入り口を作るために、エシカルという看板を皆で盛り上げることはとても大事だと思います。
何もないところに議論は生まれません。私たちのブランドも、エシカルというキーワードから入って知ってくださる人が増えており、それはとても嬉しいことですし、メリットでもあると思っています。
その入り口を通して、大切なのは、自分にとって、また周りや世界にとってよりよい、幸せだと思えることをきちんと考え、選択し行動していくことなのだということを知っていただければ、それは素晴らしいことだと思います。(寄稿・EADAYA代表 山下彩香)