パーム油は森林破壊や児童労働など環境・破壊リスクが大きいが、日本企業の対応は、米国や欧州に比べて大きく遅れを取っている。「環境に良い」として、リスクを知らないまま発電に使い続けてしまうと、「レピュテーションが悪くなるだろう」と専門家は指摘する。(オルタナS編集長=池田 真隆)
WWFインターナショナルが発表した「パーム油バイヤーズスコアカード2016」では、認証パーム油への取り組みを日本と米国の企業ごとにランク付けしている。米国企業では、ウォルマートやクリスピークリームドーナツ、ケロッグなど14社が最高得点である9点を獲得。認証パーム油の使用割合が100%の企業数は13社に及んだ。一方で、日本企業で9点を取ったのは、ウォルマート傘下の西友のみ。次いでサラヤが7点、味の素や花王、ライオンなど5社が5点と続いた。
米国企業では、ウォルマートやクリスピークリームドーナツ、ケロッグなど14社が最高得点である9点を獲得。認証パーム油の使用割合が100%の企業数は13社に及んだ。
一方で、日本企業で9点を取ったのは、ウォルマート傘下の西友のみ。次いでサラヤが7点、味の素や花王、ライオンなど5社が5点と続いた。
西友はグリーンパーム認証クレジットを取得することで、認証パーム油の使用割合100%を達成。次いでサラヤ(51%)、花王(24%)、コープクリーン(5%)という結果だった。
2016年の日本のパーム油の輸入量は約65万トン。そのうち8割以上が食品に使われる。だが、パーム油のリスクにアンテナを張っているのは、「大手数社だけ」(地球・人間環境フォーラム 企画調査部の飯沼佐代子氏)だとし、「原料調達までは意識が及んでおらず、パーム油のリスクを理解していない企業が多い」と指摘する。
国内の動きでは、不二製油グループ本社が2016年に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、味の素などが旗振り役となりシンポジウム「RSPOジャパン・デー2016」などを開いたが、欧米と比べるとまだ緒に就いたばかりだ。
熱帯林行動ネットワーク(東京・新宿)の調査によると、食品業界で、RSPO認証を取り、森林破壊ゼロを目指すと明記している企業は不二製油だけだった。