衰退する地域の稼ぐ力=RRP(Realization of Regional Potentials)を高めるため、「プレミアム」をキーワードに付加価値を上げていく手法がある。「無用・不要・無料」とされる地域資源を生かして、「その場でしか体験できない」サービスを提供していく。一体どのようなものか。地方創生などをテーマに研究を行う中央大学経済学部山﨑朗ゼミ3年の中山裕太さんに寄稿してもらった。

山崎教授は雪の影響で会場に到着することができなかったため、インターネットを通じて講演した

■供給制限で超過需要つくり出せ

12月上旬、北海道根室管内の北部にある中標津町で、あるフォーラムが開かれた。テーマは、「地方空港を活用した地域振興の可能性を探る」。根室地域の行政や観光関係者、地域住民など50人ほどが集まった。

筆者が所属する中央大学経済学部山﨑朗ゼミは、道内外の学生が根室地域(根室市、中標津町、別海町、標津町、羅臼町)の地域活性化策を考える「インカレねむろ・大学等研究モデル事業」に参画しており、その一環で、同フォーラムに参加した。

同フォーラムでは、中央大学経済学部教授の山﨑朗氏が、「プレミアム地方創生」をテーマに基調講演を行った。

山﨑氏は、地域の稼ぐ力=RRP(Realization of Regional Potentials)を高める手段として「プレミアム」をキーワードに地域の付加価値を高めていく地域活性化の事例を述べた。

これまで、地元において「無用・不要・無料」の存在であった地域資源に付加価値をつけることで他の地域と一線を画した唯一無二、最上級なものに供給制限をかけ超過需要をつくり出す必要性を訴えた。

田畑が広がる中標津町

■垂直型から水平型ホテルへ

続いて、同大学の学生5人から「アルベルゴ・ディフーゾなまちづくり」の提案があった。アルベルゴ・ディフーゾとは、イタリア語で「分散したホテル」という意味だ。

既存の垂直型ホテルから、まち全体をひとつのホテルと見なす水平型ホテルを域内の空き家や店舗を利活用し、あたかもそのまちの住民のごとく過ごす観光・地域戦略である。

インバウンド需要の急速な拡大が進む中で、富裕層の獲得は観光戦略のひとつになりえる時代がやってきており、持続的な観光まちづくりをしていくうえで求められる適切な価格設定をしていく必要があると指摘した。

具体的な事業案として、瀬戸内地域の単発機の例を紹介し、根室地域においても観光遊覧を行うことによって、世界自然遺産知床の海に水上着陸が可能なことや、宇宙から見ることができる格子状防風林などを観光客に「上から魅せる」ことができると紹介し、さらに、単発機の利用を観光だけではなく二次交通としての利用を提案した。

事業の運営方法は、「上限分離方式」とし、官民一体となった観光戦略づくりを勧めた。今後の具体的な課題として、100万円の観光消費を100人から1万円ずつ得るのではなく、1人から100万円の消費を得る観光戦略へ考え方をシフトしていくべきだと訴えた。

筆者は学生団の団長を務めた。釧路市出身でかねてから自身の生まれ育った道東地域の衰退を目の当たりにし、活性化の必要性を強く感じていた。

この地域で「プレミアム」な観光戦略と言っても住んでいる地域住民にとっては感じることがないものだと思う。

しかし、羅臼で採れる昆布は、京都の料亭では高い値段で取引されており、あまり知られていないが、日本一のカルデラである屈斜路湖がある。さらに霧で有名な摩周湖もある。

プレミアムは、単に価格が高いと捉えられることが多いが、真の意味のプレミアムというのは、「その場所でしか体験・体感できない」ことであり、そういったものが道東地域にはたくさん存在している。だからこそ、「見せ方と魅せ方」を工夫し、付加価値をつけていくことが活性化のカギである。


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