殺人発生率が世界トップクラスの中米ホンジュラス。同国では、ギャング集団の影響で、大人は若者を「犯罪者」だと偏見を持って見てしまう傾向があるという。こうした状況を変えるため、日本のNPOが「運動会」での治安改善に取り組んでいる。(Readyfor支局=浦田 優奈)
同国の治安が悪い要因の一つとして、「マラス」というギャング集団の存在がある。将来に希望が持てず、家族から愛情を注いでもらえないがために精神的孤立を味わい、仲間を求めてマラスに入ってしまったという青少年は少なくない。そんな中、地域の大人たちは彼らに愛情を注ぐどころか「若者=犯罪者」という偏見を持ち、青少年らと距離をおいていた。同国の若者は人口の22%に及ぶ。
こうした状況に目をつけ、改善に向けて動き始めたのが、世界の貧困地域で活動する特定非営利活動法人AMDA社会開発機構(以下、AMDA-MINDS)だ。母子保健、青少年育成を通じたコミュニティづくり、家庭菜園の推進など、これまでいくつもの事業を展開してきた。
現在、中米ホンジュラスの首都テグシガルパ市で治安改善に取り組む。青少年と大人の関係性を築くために、「運動会」などの地域活動を企画している。その活動資金をクラウドファンディングで集めている。
実は「運動会」を発案したのは、AMDA-MINDSの拠点がある岡山の高校生たち。子どもから大人まで幅広い世代が参加することで、交流を促すことが狙いだ。AMDA-MINDSの陰山亮子さんは、「大人から子どもまでが参加するスポーツイベントは、今回が初めての試み。彼らも楽しみにしていると思います」と話す。
■目で見えない「成果」追う
陰山さんがホンジュラスで活動して6年が経過した。「国際協力のカタチについて多くのことを学んだ」と振り返る。
それは、数値化できない「成果」があるということだ。殺人件数の減少などは一つの成果指標にはなるが、目には見えない一人ひとりの意識の変化にも注視することが大切だと気付いた。
テグシガルパ市の子どもたちは、治安が悪いため隣町に出ることすら禁止されている。近隣に住む住民を知らずに育ってきたが、AMDA-MINDSは「隣町との交流イベント」を開いた。すると、参加した子どもたちは「隣町の人とも仲良くすることができる」と意識を持つようになるのだ。
もう一つは、自発性を育むことの大切さである。家庭菜園プロジェクトでは、「みんなが食べていくために自分が種や苗を植えて育てる」という過程の重要性を伝えることを第一の目的としているそうだ。「困った時は国が支援してくれるから、待っていればよい」という、ともすれば受動的になりがちな姿勢を改善しようという狙いがある。
■「寄り添うこと」の大切さ
AMDA-MINDSではクラウドファンディング「Readyfor」で80万円を募っている。6月29日締め切りだが、現時点では63万円が集まっている
陰山さんは「青少年たちに欠けているのは自分たちを愛してくれる家族の存在であり、まさに家族のようにそばに寄り添うことが大切」と強く訴えた。
■寄付の受付は6月29日23時まで!詳しくは下記の画像をクリック