伊藤忠青山アートスクエアでは10月31日まで、持続可能な開発目標(SDGs)学生フォトコンテストの受賞作品2年分をまとめて展示する写真展を開いている。同コンテストを主催しているのは、国連広報センターと上智大学。国連が主催するものとしては、世界初のSDGsをテーマとしたフォトコンテストだ。大学生・短大生・専門学生が写真でSDGsを表現した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

SDGsとは2015年に国連が採択した国際的なアジェンダ。「誰一人取り残さない」を理念として、貧困や飢餓、気候変動などの世界規模の課題に対して2030年までに達成すべき17の目標を掲げた。「この世界の目標を子どもたちにも知ってほしい。SDGsが身近な生活に関わっていることを知ってほしい。そこでこのフォトコンテストが始まった。学生が自分で撮って、SDGsを自分なりに消化して伝えていることがポイント」と国連広報センター所長 根本かおる氏は言う。

国連広報センター所長 根本かおる氏

70カ国以上からの応募の中から、会場では2016年と2017年の受賞作品が展示されている。審査員を務めた写真家レスリー・キー氏らも学生たちの作品の質の高さに驚いたとのこと。

この写真は2016年の優秀賞作品で、貧困や自然災害などの苦難を乗り越えて幸せそうに微笑む女性を写しており、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標13「気候変動に具体的な対策を」に通じると感じてマレーシアの学生がシャッターを切った。受賞をきっかけに、国連の「The Sustainable Development Goals Report 2018」に起用された。

2016年優秀賞 “SMILE OUT OF DISASTER”(笑顔で災害を乗り越える)ネルメッシュ・シング・グルディブ・シング(マレーシア)

受賞作品の展示だけでなく、SDGsは私たちの生活のなかにあり、私たちとつながっていることを体感できるコーナーもある。この歯車グラフィックは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が、本展示の目的に賛同し、提供した。

SDGsの17目標と人々を描いた歯車が一緒に動き出す (JICA地球ひろば)

―「私たちにできることは、まだ何かある」―
本展を開催する伊藤忠青山アートスクエアは、伊藤忠商事が2012年から運営する社会貢献型ギャラリー。これまでに様々な団体とパートナーシップを組み、環境問題などのグローバルイシューをテーマにした展覧会を開催してきた。本展はリニューアルオープン記念として開かれる。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたリニューアルとして、施設には新たにバリアフリー対応として、車いす用昇降機を正面入口に設置した。伊藤忠青山アートスクエアは2012年のオープン以来、障害のある人たちを支援してきた。かつて障害のある人の美術作品は、公共施設などの小さなスペースで展示されることが多かったが、無償で展示場所を提供することで、一般的な美術作品と同じようにアート展としての開催の後押しをしてきた。バリアフリー対応によって、益々需要が増えるだろう。

車いすのお客様も、正面入口から入ることができるようになった

館内のカフェでは、エシカル消費促進のため、持続可能で倫理的な栽培によるコーヒー豆を長年探し求めてきたが、同社のコーヒー課が輸入した「国際フェアトレード認証」付きのグァテマラ産コーヒー豆を使用した淹れたてコーヒーを導入することができた。館内にはフェアトレード認証製品を購入することは、開発途上国の生産者をサポートすることに繋がる旨のポスターなどが掲出されている。

コーヒーにもサステナビリティを取り入れた

伊藤忠青山アートスクエアは、新国立競技場に近いこの青山の地で、これからもアートを通じた、様々な社会課題の解決に取り組んでいく。

本展は10月31日まで。入場無料なので、2030年の世界を変えるためのSDGsについて理解を深めてほしい。

伊藤忠青山アートスクエア公式HP:http://www.itochu-artsquare.jp/

<展覧会概要>
会期:2018年9月3日~10月31日 ※会期中無休
時間:11:00~19:00
入場料:無料
主催:伊藤忠商事株式会社
協力:国連広報センター、上智大学、独立行政法人国際協力機構(JICA)
会場:伊藤忠青山アートスクエア
   東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F
TEL & FAX : 03-5772-2913


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