イミュ、ケサランパサラン、カバーマークなどのブランドを擁する化粧品大手ピアスグループ(大阪市)は12月7日、2018年度中に化粧品・医薬部外品の動物実験を廃止することを決めた。複数の市民団体からなる「美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会(CFB)」との話し合いの席で明らかにした。同社は10日に会社サイトで動物実験の方針を掲載した。(寄稿・認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事=岡田 千尋)

CFBは6月、同社に対して動物実験の実施の有無にかかわる質問状を送付した。同社からの回答を得られなかったため、9月には、オンライン署名プラットフォーム「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」上でキャンペーンを開始した。

10月には、CFBは2万筆を超える署名をピアス本社に提出し、「美しさに犠牲はいらないと望む消費者の声を受け止めて」と、同社の専務らに動物実験の早期廃止を直接訴えていた。

それを受けて同社では動物実験方針の策定が協議され、12月7日、再びCFBとの会談に臨み、2018年度をもって化粧品および医薬部外品の動物実験の廃止に踏み切った。

9月にキャンペーンが始まってから、動物実験を撤廃することの重要性、動物実験をせずに安全性を評価するための技術的なロードマップの調整など、社内での連日の検討を重ね、動物を犠牲にしないという経営判断に踏み切った。

会談では、特にピアスグループが創業当時から開発を続けている、アザ・傷跡・皮膚の変色に悩む人向けの化粧品について、通常の化粧品に比べて安全性評価の面で慎重にならざるを得ず、今後も技術的課題に直面する可能性もあり、困難な判断であったと明かした。

CFBは、「私たちのところには、同様の悩みを持った人から『動物実験は望まない』という声が届くことがある。ピアスグループの決定によって、さまざまなニーズを持つ消費者が動物を犠牲にしない商品を選択できる幅が広がったことを歓迎する。技術的な転換期において、厳しい場面が今後もあるかもしれないが、それでも化粧品開発において動物を犠牲にしないという覚悟を決めたピアスグループに対し、感謝したい」とコメントをした。


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