深刻化する気候危機への対策強化を訴える大学生らによる「Fridays For Future」(以下FFF)は4月24日、「デジタル気候マーチ」を行った。新型コロナウイルスの感染拡大のなか、路上ではなくツイッターなどSNSで「#気候も危機」を付けた発信を広く呼び掛け、自宅などからプラカードやメッセージを掲げたツイートは2時間で6000を超えた。同時に全国21カ所で活動するメンバーを中継でつなぎ、政府に対策強化を訴えた。(堀 理雄)

「デジタル気候マーチ全国中継」では、東北から九州まで21のFFF支部から60人のオーガナイザーが集まった

「どんな生き物も気候変動で生命の危機にさらされる」「(多発化する)災害から逃げることはできない」――。若い世代だけでなく幅広い人びとから寄せられたツイートは、17時の開始から2時間で6073件に達し、話題のツイッタートレンドに入った。

24日夜に「#気候も危機」がツイッタートレンドに入った

FFFは、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥンベリさんが2018年に始めた学校ストライキから始まり、共感した若い世代を中心に世界に広がった。日本では、2019年2月に初めての気候アクションが行われ、同年9月のグローバル気候マーチには23都道府県で5000人、世界で760万人が参加した。

4月24日のグローバル気候マーチは世界各地の街中などで行われる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本では初めて「デジタル気候マーチ」として開催した。

当日はツイッターやインスタグラムでの呼び掛けのほか、全国21カ所で活動するFFFメンバーをオンラインアプリZoomでつないで中継。各自治体への気候非常事態宣言に向けた働き掛けや、気候問題を争点化するための選挙候補者へのインタビュー、石炭火力発電所の新規建設反対など各地の取り組みを紹介し、政府に対策強化を求めてコールを行った。

今回のデジタル気候マーチの目的は、日本政府に対し温室効果ガスの国別削減目標(Nationally Determined Contribution: NDC)引き上げを求めることだ。

国連が2015年に定めたパリ協定では、世界の平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をする長期的目標を設定。それに向けて各国政府が5年ごとに目標を更新することになっている。

2020年はその目標更新の年だったが、日本政府は3月末、「2013年度比で2030年までに26%削減」という2015年に定めた目標を引き上げないことを決めた。

英国が1990年比で57%削減、ドイツが同55%削減、中国が2005年比で60%削減などの目標を掲げるなか、日本政府が5年前に定めた目標を強化しないとした決定は、気候変動対策に後ろ向きと捉えられかねないとして、国内外から批判と抗議の声が上がっている。

今回のアクションについてFFF名古屋の中村涼夏さんは、「6000件を超えるツイートやSNSでの発信は、日本政府に対してより透明なプロセスのもとNDCの見直しを求める国民の多さを物語っている」と述べた。

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