新型コロナウイルスの感染防止の一環で、政府が小中高や大学の「9月入学」を具体的に検討しているなか、大阪の高校生が始めた9月入学賛成を求める署名活動に2万人超の賛同者が集まっている。高校生たちは、9月入学を導入することで得られる利点として、「教育の機会平等」、「入試に伴う混乱を減らせる」、「海外留学がしやすい」、「青春を取り返せる」の4つを挙げている。(オルタナS編集長=池田 真隆)
” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]この署名活動は、大阪市に住む有志の高校生が署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で4月19日から実施している。5月1日時点で21,249人からの賛同を得ている。集まった署名は、萩生田光一・文部科学相に提出する。
賛同者からは、「生徒の大切な学びの時間がもぎ取られたままでなく、9月新学期導入できちんとできるようになる事を切望します」(中学校教諭)や「高校の課題などが配信されている状況で、正直学習面などとても不安です。9月入学になれば、全員で足並みを揃えてスタートできるので安心して学習する事ができると思います」(高校1年)などがある。
親の仕事の都合で昨年の9月に海外の大学に入学した高校生からは、「日本の大学に入学したいと考えているのですが、こちらの高校を卒業してから半年ほど何も勉強できなくなる時期ができてしまいます。家庭の経済事情的に予備校などには通えません。これをきっかけに海外から戻りやすくしてほしいです。コロナウイルスに関係する理由ではないのですが、海外からの学生が日本に戻りやすくするために、これをきっかけに9月始業になってほしいです」という意見が出ている。
署名活動を立ち上げた西野桃加さんと中尾微々さんは、「ただでさえ混乱している世の中、このような大きな決断は不可能に等しいかもしれません。様々な現実的な問題が生じるのも承知しています。ですが、私たち学生が声を上げることにより、少しでも良い方向に物事が進めばと思っています」と訴える。
反対意見も踏まえ冷静な議論を呼びかけ
一方で、同サイトには「9月入学反対」を求める署名活動も展開されている。これは、4月28日から始まったもので、5月1日時点で1,282人が賛同している。9月入学に反対する理由として、「急に受験時期が変更となることへの不安」、「教育制度変更に伴う労力」、「9月以降もコロナウイルスが収束しない可能性」、「半年分の学費の負担」の4点を挙げている。
賛同者の高校生からは、「国際化・グローバル化しやすくなるからといって9月入学はやめて欲しいです。なんでもかんでも、海外に合わせなくていいと思います。各都道府県知事が、会議しているようですが、そこに教育関係者(現場)の意見はあるのか。丁度いい機会だからなんて軽はずみなことしないで欲しいです。現に、共通テスト、英検など外部試験の利用も結局延期で終わっています」という意見が出ている。
この署名活動を立ち上げた「たん たんさん」は、「この署名は、賛成している方と争うために作ったものでもありません。反対する人もたくさんいるということ、反対の意見を持つものから見たデメリットを世間に知ってもらい、両方の意見を踏まえ検討してもらうための署名です」と述べている。
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