世界中で感染が広がる新型コロナウイルスによって、留学をあきらめる学生が増えている。なかには、出発の2日前に留学先から受け入れ中止を言い渡された学生もいる。学生たちは留学を軸に就職活動や卒業の時期を決めていただけに、すべての計画が白紙になった中で、「それでも後悔はしたくない」と可能性を探る。(オルタナS編集長=池田 真隆)
” open=”no” style=”default” icon=”plus” anchor=”” class=””]4月30日、「留学・海外インターン中止に打ち勝つ!」と題したオンラインイベントが開かれた。
主宰したのは、立命館大学の有志プロジェクト「Beyond COVID-19」に所属する経営学部4年の一瀬優菜さんと法学部4年の堀田歩美さん。2人とも今年9月から留学する予定だったが、長期化するコロナ禍によって計画の見直しを迫られている。
そんな不安や悩みを共有するため、このイベントを企画した。留学や海外でのインターンを予定していた学生に呼びかけ、「いま、何をしているのか」を話し合った。
当日は3・4年生を中心に、10人の学生が集まった。関西圏だけでなく、東京や香川県在住の学生も参加した。
出発の2日前に留学先がロックダウンし、急きょ留学ができなくなった学生や一年留学の予定だったがコロナの影響で、わずか半年で帰国した学生など状況は様々だ。
留学先の多くの大学で授業のオンライン化は進められている。すでに留学した学生の中には、帰国後も日本の大学に通いながら、留学先の大学のオンライン授業を受けている人もいる。だが、時差があるため、「受講を続けることが辛い」という声も出た。
就活か、留学か
当初、予定していた計画が白紙になった今、学生たちは何を考えているのか。今回集まった多くの学生が悩んでいたのは、「就活の始め時」についてだ。
日本の多くの企業は、大学卒業後にすぐに入社させる新卒一括採用をとっているので、「新卒ブランド」は捨てがたいのが学生たちの本音だ。この日に参加した4年生の多くが留学をあきらめて、就活を始めることを考えていると明かした。
だが、進路を決めるには時間がかなり限られている。2021年卒向けの採用面接は6月から始まってしまう。同学年の2021年卒は3年生の3月から会社説明会やインターンに行き、自己分析を進めていた。
もともと海外に行ってから自分の進路を決めたいと考えていた学生たちは、急いで自己分析をして、就職先を選ばなくてはいけない。
主宰した一瀬さんは9月から翌年の1月までイギリスの大学で開発学や環境学を学ぶため留学する計画を組んでいた。帰国後の1月から就職活動を始め、3月には卒業する予定だった。
しかし、今回のコロナ禍によって留学できるのか不透明になった。留学先の大学からはまだ正式に受け入れ中止の連絡をもらっていないが、奨学金の手続きに時間がかかることもあり、今月中には決断を迫られている。一瀬さんは21卒だが、1年間休学して22卒で就活を始めることも視野に入れている。
「留学しないまま卒業を迎えると後悔するかもしれないが、就活との兼ね合いも考えないといけない。まだ答えは出していないが、自分の中で妥協点を模索している」と述べた。
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