アディダスジャパンは12月20日、使用後に100%再生可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」の実証品を発表した。接着剤を使用せず単一素材で製造することで、使用後に回収・溶解し、再生産できるシューズとして2021年の一般販売を予定している。実証品は原料の10%にリサイクル素材を使用。今後技術開発を進め再生素材比率を100%に高め、使用・廃棄から再生産できる循環経済(サーキュラーエコノミー)型のシューズを目指す。(オルタナ編集部=堀理雄)
FUTURECRAFT.LOOPは、再生産を前提に単一素材でつくられた「生まれ変わるために作られたシューズ」。熱可塑性ポリウレタン(TPU)を使用し、7年間の研究開発を経て接着剤を使用しない製法を実現した。
今回発表された実証品「GEN2(第2世代)」は、2019年4月のプロジェクト発表後、世界主要都市のアスリート200人が実際に使用した後の「GEN1(第1世代)」シューズを回収し、粉砕・溶解を経て再生産した素材を一部使用して製造した。
リサイクル素材はシューズの外側の素材や内部の補強材などに使用している。今後ランニングシューズとしての品質を維持しつつ100%リサイクル素材での製造を目指し、最新の知見を集め技術開発をさらに進める考えだ。
同社のアンジェラ・オルティスCSRシニアマネージャーは「このシューズは『廃棄』の問題に取り組むというアディダスの意思表示。(循環型経済の実現に向けて)顧客を巻き込みながら、供給の川上から川下まで業界全体の動きにしていきたい」と話す。
2021年の発売までに、世界各国で、シューズの回収からリサイクルに向けたインフラの仕組みを整えることも重要な課題だという。
アディダスは2015年から、海洋環境保護団体「Parley For The Oceans」と協働し、海に流入する前に回収されたプラスチック廃棄物をアップサイクルして生産したシューズ「パーレイ」シリーズを開発・販売し、世界で1100万足を生産した。
2019年6月からは、素材のリサイクルに向け不要なアパレルやシューズなどを店舗で回収する「TAKE BACK PROGRAM」を全国で展開中だ。2024年までに、全ての製品に100%リサイクルされたポリエステルを採用することを公約している。