「市村交易」とは、都市と農村の間で「お互いにないものを交換しあい、対等な関係を結ぶ」という考え方だ。「都市と農村の交流」という言葉は今までも当たり前のように耳にしていたが、「市村交易」という言葉は、私の耳に新鮮に聞こえた。
この構想を発案したのは、私の師匠である兵庫県の宝塚メディア図書館の代表理事、畑祥雄先生だ。畑先生は宝塚にあるマイ野菜市民農園(http://www.myyasai.jp/)のプロデュースをしている。このプロジェクトは衰退を始めた駅前商業ビルを活性化させるアプローチのひとつとして取り組まれている。
先生から「宝塚と岡山の上山棚田の市村交易を実現させよう」という提案をいただいた。そして、先日「上山棚田大学」というスキームの中の「稲刈り入門」としてバスツアーを企画し、第一歩を踏み出した。宝塚と上山棚田の「市村交易」は、宝塚には上山棚田と比べて人がたくさんいるが、上山にはいない。しかし上山には宝塚にないホンモノの農地がある。
(内容についての詳細は上山棚田大学web:http://www.ueyama-tanada.com/blog/)
(企画への想いについてもっと詳しく:menpeiブログ http://menpei.blog81.fc2.com/blog-entry-301.html )
当日は14名が参加し、盛況で終了した。しかし今回だけで、やれやれと終わって流れてしまうと今までと一緒だ。私のフィールドである上山棚田のことだけでなく、宝塚のことも考えて、「交易」の域に達すまで、執念深く、地道につないでいこうと思う。
ソーシャルメディアの普及により、どこかとどこか、誰かと誰かがつながることは、いとも容易くできるようになった。それがパワーになるのも確かだ。ただ、本当の意味でつながる、つなげるためには、泥臭い地道な努力やリアルな人間関係のぶつかり合いがあってこそだと、この企画の実践を通して強く感じた。宝塚と上山との市村交易は、まだまだ始まったばかりだ。(オルタナS岡山特派員 井筒木綿子)
■参照
上山棚田大学 http://www.ueyama-tanada.com/
宝塚メディア図書館 http://medialib.jp/