東京を自転車先進都市にするために、市民の署名運動が起きている。1月16日から投開票日の2月9日まで特設サイトで募り、現時点で5853人が署名した。この運動の特徴は、単純に署名を集めるだけではなく、誰が都知事になっても自転車先進都市になる可能性を秘めていることだ。(オルタナS副編集長=池田真隆)

署名運動を発案した小林さん。自転車通勤をする愛好家である

この運動を起こしているのは、自転車政策の調査・研究を行うNPO法人自転車活用推進研究会(以下「自活研」)だ。地球温暖化やヒートアイランド化が深刻化するなか、自転車を切り札として状況を変えていこうと企画した。

同様の市民運動は、2012年ロンドンで起きた。市長選挙が行われているなか、自転車先進都市を望む市民が立ち上がり、7人いた市長候補者に、自転車政策を公約に入れるよう署名を提出した。その数は、3カ月で4万人に達した。

7人中5人の候補者が公約に入れることを約束したので、ほぼ誰が市長になっても自転車政策が進む状況を、市民の力で作り上げた。就任したボリス・ジョンソン市長のもと、900キロの自転車レーン、6万台の駐輪スペース、720カ所1万台のシェアサイクルが整備され、世界に誇る自転車先進都市へと成長した。

この事例を参考に、東京のリーダーが入れ替わるときに合わせて、一気に自転車政策を実現化する狙いだ。27日、自活研は12人の候補者に1月31日を回答期限とした要望書を送っている。要望書に記載されている内容は3点。「車道上の自転車レーン網の設置」「街なかに多様な駐輪スペースの確保」「都心全域を網羅するシェアサイクル」である。

現時点で、3人から返事が届いている。舛添要一氏、ドクター中松氏、鈴木達夫氏だ。3候補ともに、「趣旨に賛同し、当選したら実現へ努力する」と宣言している。

東京の自転車政策は、ロンドンやパリ、ニューヨークに比べ大きく遅れを取る。たとえば、車道を塗装で区分した自転車レーンの長さは、ニューヨーク1500キロ、ロンドン900キロ、パリ600キロに比べて、わずか9キロだ。

都では、自転車は歩道という姿勢があるために、歩行者との事故も増加している。2000年から2010年にかけて交通事故は20%減の結果となったが、自転車対歩行者の事故は151%と1.5倍増加した。

そのほかにも、駐輪場の立地とニーズのミスマッチやシェアサイクル場の少なさが目立つ。同キャンペーンの運営責任者である小林正樹さん(43)は、「都知事選を機に、自転車政策実現化を進めて、環境に負荷をかけない都市にしていきたい」と話す。

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